2020年6月8日

零細企業サラリーマンは株式投資よりも給与収入の方がハイリスク



“コロナ・ショック”による株価大暴落から一転、大幅上昇が続いています。今度は“コロナ・バブル”との見方さえ出てきて、実際に私も保有資産は劇的に回復しました。ところが家計全体で見ると緊急事態となりました。勤務先から今年の夏のボーナスの提示があったのですが、なんと前年実績から50%以上の減額となります。これで今年は年収大幅減が避けられそうもありません。こうなると改めて感じるのは、私のような零細企業で働くサラリーマンにとっては株式投資よりも給与収入の方がハイリスクだという悲しい現実です。

私は売上高5億円未満、従業員50人未満という文字通り零細企業で働いています。おまけに景気敏感業種なものですから、不景気になるとすぐに経営不振に陥ってしまいます。“リーマン・ショック”の時などは、まさに倒産一歩手前となり、ボーナス無し、さらには給与カットが3年以上にわたって続きました。ようやく経営が正常化したのは、ここ数年のことです。

ところがそこに今回の“コロナ・ショック”です。日本だけでなく世界中の経済活動が停滞した影響は大きく、売上高が激減しています。株価は回復しても実体経済への打撃は続いていますから、実際の商況がまったく回復していません。このままでは今期は赤字決算となる可能性も高く、まさに社内が緊急事態宣言です。

そんな状況ですから、夏のボーナスは大幅カットが避けられそうにありません。この調子では冬のボーナスの望み薄。場合によっては賃金カットの危険性すらあります。少なくとも今年の給与収入は激減することがほぼ決定的です。我が家の家計も緊急事態宣言となります。

幸い夫婦ともにそれほど浪費するようなタイプではないので家計の黒字は維持でいそうですが、それでも貯金の積み増しはかなり厳しい状況となりそうです。とにかく今年は積立投資の金額を維持しながら、少しでも現金を積み増すことに努力しなければなりません。近々、国から「特別定額給付金」が支給される予定ですが、これも生活防衛資金の積み増しに使うということは以前にも紹介しました(特別定額給付金10万円を何に使うか)。

それにしても、こうした給与収入の減少にたびたび直面すると、私のような零細企業勤務のサラリーマンにとっては株式投資よりも給与収入の方がハイリスクだという感を強く持ちます。実際に“リーマン・ショック”のときも賃金カットの措置が終了するよりも、保有している株式の評価額が回復する方が圧倒的に早かった。給与カット期間中は、わずかですが株式からの配当収入に助けられたものです。今回の“コロナ・ショック”でも今のところ、やはりそうなりそうです。

しかし、これは考えてみれば当たり前のことかもしれません。そもそも私が個別株やンデックスファンドを通じて投資している企業というのは、私の勤務先の零細企業などと比べるのもおこがましいような超優良大企業ばかりです。当然、事業基盤や財務体質が強固ですから、景気さえ改善すれば業績の回復も早い。はっき言って、投資先の企業の株価が暴落して回復しないリスクよりも、勤務先が倒産する可能性の方が圧倒的に高いという悲しい現実があります。

よく「株式投資などせずに、給料だけでコツコツやっていればいい。投資しても余計なリスクを負うだけ」などと言って株式投資を否定する言説があります。しかし、それは給与収入の安定性が盤石な一部の大企業サラリーマンや公務員の余裕の発言にしか聞こえません。私のような零細企業のサラリーマンは給与収入の安定性自体が非常に脆弱で、ハイリスクなのです。

だからこそ、零細企業のサラリーマンこそ資産形成の手段に株式投資を組み入れることが必要ではないでしょうか。それは資産を増やすためだけでなく、一種のリスクヘッジ、あるいは「生活防衛」です。実際に私はこれまでも給与収入が減っているのに資産は増えていくということを何度も経験しています。こうした経験こそが私が株式投資を続けている最大のモチベーションになっているのかもしれません。

関連コンテンツ