サテライトポートフォリオで積立投資している「ひふみ投信」の2020年5月次運用報告書が出ました。5月の騰落率は+8.21%、参考指数であるTOPIX(配当込み)の騰落率は+6.82%でした。純資産残高は5月29日段階で1247億円(前月は1154億円)、ひふみマザーファンドの純資産残高は6943億円(前月は6393億円)となりました。前月に続いて参考指数を大幅に上回る好成績です。基準価額も5万円台を回復し、年初来最高値をうかがう勢いです。“コロナ・ショック”によるマイナスも取り戻すなど、まさに脱帽の好成績でした。
5月は新型コロナウイルス感染症のパンデミック(世界的大流行)もピークアウトしたとの見方から経済活動も徐々に再開に向けて動き出したことで世界の株価はいずれも好調に上昇しました。こうした市況にしっかりと追随しながら、さらに参考指数を大幅に上回る成績を叩き出したことに受益者の1人としてもうれしい限りです。
さらに驚くべきはポートフォリオの中身です。運用報告書によると上げ相場に追随するためにポートフォリオにおける現金比率を4月末には17.2%だったものを13.9%まで引き下げたとのことです。これは言い換えると、依然として約14%もの現金を抱えながら参考指数を大幅に上回ったわけですから、いかに現在の銘柄選択が成功しているかの証左です。機動的にポートフォリオを組み替えるアクティブファンドの特徴が“コロナ・ショック”という相場環境激変の中で結果を出しています。このため“コロナ・ショック”を挟む過去1年の騰落率でも参考指数が+6.19%に対して「ひふみ投信」は+11.27%。まさに圧勝です。
さて、ここにきて運用の冴えが際立つ「ひふみ投信」ですが、先行きに関して決して楽観はしていないようです。最高運用責任者の藤野英人さんは現金比率当面は10%以下にはしないとした上で次のように書いています。
新型コロナウイルスによって変化する価値観、変化する需要を把握 して、的確に銘柄を選んでいます。在宅ワークの広がりにより通信インフラやインターネットによる各種サービスの存在感が高まります。クラウド関連などのIT企業はますます注目されるでしょう。センサーや通信関連の電子部品、5G関連企業やAI関連企業も注目されていくと予想しています。新型コロナの登場によって、社会や経済のあり方は大きな構造変化をきたす可能性があります。まさに“ニューノーマル”ですが、そこでは当然ながら銘柄選択の前提条件も変わるでしょう。こうした状況で、いかに的確なポートフォリオを組むことができるかがアクティブファンドの腕の見せ所なわけです。引き続き「ひふみ投信」には期待したいと思います。
一方で、緊急事態宣言が解除されても、飲食業や旅行業、ホテル、 観光などのサービスの立ち上がりは鈍いことを予想し、関連銘柄のウエイトは引き下げています。
さて、月次運用報告書に先立って発表された中間レポート恒例の組入れ銘柄紹介です。今回はトリケミカル研究所(4369)でした。半導体や太陽電池、光ファイバーなどの製造に必要な高純度化学材料の有力メーカーです。あいかわらず目の付け所が鋭くて感心しました。個人的に化学銘柄が好きなので、過去に高純度化学材料のメーカーをいくつか調べたことがあるのですが、この世界は非常に奥が深い。ニッチだけれども、世界的な競争力を持った日本企業があったりします。いかにも「ひふみ投信」らしい銘柄選択だと思います。
【ご参考】
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