2020年6月12日

“コロナ・ショック”で下落も3期連続で参考指数を上回る―「iTrust世界株式」第4期運用報告書を読む



サテライトポートフォリオで少額ですが積立投資しているピクテ投信投資顧問の低コストアクティブファンド「iTrust世界株式」の第4期運用報告書(全体版)(2019年4月11日~2020年4月10日)が出ました。ファンドの騰落率は-8.2%、参考指数であるMSCIワールド指数(ネット配当込み)の騰落率は-8.5%でした。分配金は見送りです。“コロナ・ショック”で大幅下落となりましたが、参考指数よりは下落幅を抑えることができてきます。これで第2期から3期連続で参考指数をアウトパフォームしたことになり、徐々にエンジンがかかってきたと言えそうです。

期中の基準価額と参考指数の推移を見てみると、前半こそ参考指数を下回るケースが多かったのですが、後半から徐々にアウトパフォームする月が増え、“コロナ・ショック”が直撃した2020年3月・4月はともに大幅下落ながら参考指数よりも下落率を抑えることに成功しています。相場急変時にどれだけマイナスを抑えることができるかもアクティブファンドの腕の見せ所ですから、面目は保てたと言えそうです。

期首と期末の組入上位10銘柄の変化を見ると、マイクロソフト、アルファベット、アップル、ロシュ・ホールディングスの上位4銘柄は変化なし。JPモルガン・チェースやDBSグループ・ホールディングスなど金融銘柄が姿を消し、ジョンソン・エンド・ジョンソン、イライリリー・アンド・カンパニーといった医薬品銘柄が新たに上位に登場しています。昨年から上位に生みこまれているグラクソ・スミスクラインと合わせてヘルスケアセクターへの傾斜が鮮明です。やはり“ウィズ・コロナ”時代を見据えたポートフォリオということかもしれません。

純資産残高は17億2100万円(前期は12億6600万円)、マザーファンドの純資産残高は136億8700万円(同133億9900万円)でした。基準価額が下落する中で純資産残高が堅調に増えているということは順調に資金流入が続いているということになりますから、ジワジワと人気も出てきたようです。実質コストは以下のようになりました。

信託報酬:0.979%
売買委託手数料:0.021%
有価証券取引税:0.03%
その他(保管・監査・その他)費用:0.097%
実質コスト合計:1.127%

前期の実質コストが1.135%でしたから、若干のコストダウンとなります。消費税の引き上げで信託報酬が若干増加したのですが、そのほかの経費がいずれも低下しています。売買高比率は0.89となり、こちらも前期の1.16から低下しています。“コロナ・ショック”で忙しい展開となったと思いきや、意外と落ち着いた運用だったことになります。

「iTrust世界株式」もこれで3期連続で参考指数を上回る運用成績となりました。4月末段階での3年間累積での騰落率を見ると「iTrust世界株式」は+16.31%となり、参考指数の+11.93%に対して大きくアウトパフォームしています。受益者としてなんとも心強い限りです。もっとも、設定初年度に大きく出遅れたことから設定来の騰落率ではまだ参考指数を下回っています。しかし、それも射程距離に入ってきました。

中長期的に成長が期待できる優良銘柄を厳選して投資するのがこのファンドのコンセプトですから、この調子で巻き返して欲しいところです。また、「iTrust」シリーズは受益者専用サイト「iInfo」を通じて機関投資家向けレポートやデータ集を配信してくれるなど充実した情報発信も魅力。こちらも引き続き楽しみにしたいと思います。

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