2020年6月15日

買いでも売りでも勝てない個人投資家たち



6月に入ってから日米ともに株式市場は急激な上昇となっていましたが、先週末に一転、大幅な下げとなりました。なかなか相場の動きを予想するのは難しいと改めて思い知らされるような値動きだったのですが、それに翻弄される個人投資家についての記事が出ています。

株、勝てない個人にいらだち 弱気型ETF、歴史的な「ロング」に(「日本経済新聞」電子版)
「株価は上昇するだけ」が裏目、2兆ドル吹き飛び個人投資家に痛み(ブルームバーグ)

個人投資家が売りでも買いでも負けてしまったという寂しい内容です。

二つの記事を読んで興味深いのは、“コロナ・ショック”後の個人投資家の動きが日米で対照的だということです。日本はベテラン個人投資家が売りを仕掛けているのに対して、米国は新規参入組が買い進めました。日本の個人投資家は逆張り志向が強く、米国の個人投資家は基本的に順張り志向だというのは以前から指摘されていることですが、今回も同様の動きだったようです。

これはどちらが正しいというわけではありません。日本株はバブル崩壊以降に長期低迷が続き、米国株は右肩上がりとなっていました。ともに過去の経験に基づく先入観で動く個人投資家が多いわけです。そして今回、その先入観に足元をすくわれる形となりました。「これから暴落するに違いない」あるいは「株価は上昇するだけ」といった一方的な思い込みで投資すると、だいたい上手くいかないというのはよくあることでしょう。

とはいえ、短期的には負けてしまった個人投資家たちですが、あきらめずに市場に居続ければ勝機も見えてきます。実際に先週前半までの上げ相場で散々踏み上げられた日本の「売り」投資家も、週後半の下げで少しは息を吹き返したのでは。米国の「買い」投資家も、今後の株価回復を期待しているはずです。そう考えると、やはり“相場に居続ける”というのが個人投資家の採り得るベターな投資戦略ということになります。

そのためにはある程度の期間は含み損に耐えなければなりませんから、やはりレバレッジを掛け過ぎてはいけないし、フルポジションというのもかなりしんどい。余裕を持った資金投入がポイントになるという、これまた夢のない結論に落ち着くのでした。

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