2020年4月22日

“証券人生50年”の大先輩の話を聞こう―分散投資と長期投資の大切さについて



新型コロナウイルス感染拡大が依然として収まる気配がなく、世界経済の先行きに対して不安がますます大きくなってきました。はたして現在のような異常な状況下で株式投資などしていていいのだろうかという疑問がわいてもおかしくありません。こうした中、みんなのお金のアドバイザー協会(FIWA)の岡本和久理事長が非常に面白いメッセージと動画をアップしていました。

こんな時こそ基本に戻ろう いま、投資が心配な人へのメッセージ(FIWA 通信「インベストライフ」)

現在のような“危機”のときこそ、“証券人生50年”の大先輩の話を聞こうと思います。

岡本さんが証券業界に入ったのは1971年4月ですから、ちょうど50年が経過したことになります。その間、どれだけの“危機”と“暴落”があったのかという話は、実際のその瞬間を経験した人だけにリアルです。ざっと数えるだけで50年間で30回はクライシスがあったわけですから、よく「〇〇年に1度の危機!」と言われながらも、実際な1~2年おきに何らかのショックが起こっているわけです(そういえば、さわかみ投信の澤上篤人さんも以前にどこかで「心配しなくてもだいたい1、2年ごとに“なんとかショック”は起こるから(笑)」と言っていました)。

ところが、そんな危機と暴落を繰り返しながらも株価は上昇を続けました。50年で日本株ですら10倍、米国株にいたっては30倍以上になったわけです。なぜそうなるのか。株式というのは、そういう仕組みだからにほかなりません。岡本さんはそれを「『増』価証券」と呼んでいます。もちろん、中には倒産する企業もあります。だからこそ分散投資が大切という岡本さんの指摘は、実際に50年間にわたってマーケットを見続けた人の指摘だけに重要です。そして、こうした株式の恩恵を享受するためには、やはり株式を“持ち続ける”ことしかない。これはもう経験則として一定の答えが出ているわけです。

こうした考え方は、現在の“コロナ・ショック”にも当てはまるのでしょうか。やはり当てはまると思う。たしかに“コロナ・ショック”によって破綻する企業も多く出ることでしょう。しかし、残酷な考え方ですが、“コロナ・ショック”によって成長する企業も出てくるはずです。例えばどこかの製薬会社が新型コロナウイルス感染症の治療薬やワクチンを開発したらどうなるか。その企業は爆発的な利益を上げるでしょうし、その周辺産業も活況となるはずです。あるいはオンラインで仕事をしたり買い物することが今以上に当たり前になれば、通信関連やEコマース関連の収益構造は劇的に変わるはずです。

伝染病による多くの人間の死という悲劇すらも成長の原動力にしてしまう。これが資本主義の恐ろしいところです。いつになるかわかりませんが、いずれ新型コロナウイルスの感染拡大が収束したとき、資本主義はその恐ろしい力を見せつけるのではないでしょうか。ただ、その力はどのような形で顕在化するのかは予想できません。だからこそ、いまこそ分散投資と長期投資という資産運用の大切な“基本”に立ち返るときなのです。

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