2020年2月8日

セゾン投信の強みは受益者の質―いまや歴戦の精鋭軍団



先日発表された「投信ブロガーが選ぶ! Fund of the Year 2019」は近年の低コスト競争をリードするインデックスファンドが上位を席巻したわけですが、そんな中でセゾン投信の「セゾン・バンガード・グローバルバランスファンド」が7位に入ったこと(歴代最多入賞)が非常に印象深かったと以前にこのブログで書きました(インデックス投資家における新派と旧派―「投信ブロガーが選ぶ! Fund of the Year 2019」雑感)。私などは「さすがセゾン投信だ」と感心も納得もしたのですが、Twitterなどを見ていると、どうも最近はセゾン投信の凄さを知らない人も増えているようなので、ちょっとひとこと言いたくなりました。確かに「セゾン・バンガード・グローバルバランスファンド」はコスト水準やポートフォリオの中身が時代遅れに見えるかもしれません。しかし、それをもって「セゾン・バンガード・グローバルバランスファンド」がダメなファンドだと思うのは浅い見方です。「セゾン・バンガード・グローバルバランスファンド」などセゾン投信のファンドには、他の投資信託にはない圧倒的な強みがあります。それは“受益者の質”です。

「セゾン・バンガード・グローバルバランスファンド」が設定されたのは2007年。なんとリーマンショックの前年です。設定直後から空前の金融危機に見舞われるわけですから、ファンドとしては最悪の時期にスタートしたと言えるでしょう。実際に1万円からスタートした「セゾン・バンガード・グローバルバランスファンド」の基準価額は設定直後から下がり続け、2011年には6000円台にまでなります。わずか3年で投資したお金が3割以上目減りしたわけですから、受益者の気持ちはいかなるものだったのでしょうか。ところか、ここにこそセゾン投信の強みが表れています。基準価額が暴落する一方で、純資産残高は右肩上がりに増えていったのです。つまり、受益者がほとんど逃げず、逆に多くの人が積立投資という形で入金を続けたのです。これは投資信託にとって驚異的なことです。

ファンドにとってもっとも困ることは基準価額の下落ではありません。受益者がファンドから逃げ出して純資産残高が急減することです。こうした解約による資金流出が起こると、ファンドはただでさえ評価額が下落している保有資産をさらに投げ売りして払い戻しのための資金を作る必要に迫られます。するとまともな運用などできなくなり、結局は繰り上げ償還といった形でファンドは死にます。実際に経済危機の際には、そういった形で多くのファンドが死にました。しかし、セゾン投信の「セゾン・バンガード・グローバルバランスファンド」は、そうならなかった。なぜなら、ファンドと受益者の間に強固なリレーションシップを築くことに成功していたからです。私がそのことはを確信したのは、古くから「セゾン・バンガード・グローバルバランスファンド」を積立投資しているブロガーさんの記事を読んだときでした。

セゾン投信の“強さ”の秘密

この記事でも紹介しましたが、セゾン投信は運用報告会さえも運用会社と受益者が自然と協力して運営するような風土が完成されているわけです。こういった関係性が出来上がるまでには、恐らくセゾン投資からの膨大な情報公開と受益者との対話があったはずです。セゾン投信と受益者は、単なる利害関係を超えた信頼関係で結ばれている。ここまで強固なリレーションシップを受益者との間で構築しているセゾン投信というのは、ある意味で運用会社の理想形です。ファンドと受益者の関係がこのように完成されると、それこそどんな大暴落が来てもファンドは盤石でないでしょうか。おそらく逃げ出す受益者が少数だと想像できるからです。こうした“受益者の質”がセゾン投信の強みなのです。

変な話ですが、「北斗の拳」で例えるとセゾン投信の受益者というのは拳王軍や聖帝軍ではなく、「南斗六聖拳最後の将」の軍団のようなものです。拳王軍や聖帝軍は強力であり勢力も大きいのですが、ラオウやサウザーが倒されれば崩壊する脆弱さを抱えています。一方、南斗六聖拳最後の将の軍団は軍団員の結束と最後の将への信頼によってただひたすら孤塁を守っていたりする。きっとセゾン投信の古参受益者の中には南斗五車星みたいな人が何人もいるのでしょう。そして、もし自分がどの軍団に入るのが幸せなのかを考えると、南斗六聖拳最後の将の軍団の魅力には抗しがたいものがあります(ちなみに成績もしょぼく、コストもぼったくりの水準なのに販売会社の営業力で純資産残高を急増させるようなファンドはジャギ軍団やアミバ軍団みたいなものです。セールスマンが「俺の(会社の)名を、いってみろぉおおお!!!」「心配するな。おれ(の会社)は天才だ。おれに不可能はない!! ん!? まちがったかな…」と言われるでしょう)。

リーマンショックや、その後のいくつかの小規模な暴落を経ながらも、いまやセゾン投信の受益者は歴戦の精鋭軍団になっているはずです。今後、再びリーマンショックのような大暴落が起こったとしても、ファンドと受益者の結束が揺らぐとは思えません。一方、いまセゾン投信を過小評価している個人投資家が保有しているファンドがどうなるか。そのときこそ投資信託における“受益者の質”という問題の重大さに気付くのかもしれません。私自身はセゾン投信のファンドを保有していませんが、だからこそセゾン投信の強さをいつも羨望の眼差しで見ています。ちなみに私の妻はまったくの投資未経験者ですが、もし彼女がこれから投資を始めたいと言い出せば、私はやはりセゾン投信のファンドを勧めると思います。妻を参加させるなら、やはり南斗六聖拳最後の将の下が安心だからです。

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【ご参考】
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