私はSBI証券の個人型確定拠出年金(iDeCo)に加入しているのですが、このほど嬉しい発表がありました。受給時の受け取り方法が「一時金受取」と「年金受取」の併用が可能になったのです。
iDeCo(個人型確定拠出年金)30万口座突破及び受給時の併給に関するお知らせ~『一時金受取』と『年金受取』の併用が可能に!~(SBI証券)
これによりSBI証券のiDeCoプランは死角がほとんどなくなります。積立時だけでなく受給時のサービスでも名実ともに業界最高水準となります。
iDeCoはプランを提供する運営管理金融機関によってサービス内容が異なります。このため、より充実したサービスを提供している運営管理機関のプランを選ぶことが重要です。この時にポイントになるのが運営管理手数料の安さ(ただし、国民年金基金連合会と信託銀行への手数料が全金融機関共通で必要)、そして低コストな商品ラインアップをそろえているかという点です。
この点でSBI証券のiDeCoプランは運営管理手数料が無条件無料であり、商品ラインアップもセレクトプランに「<購入・換金手数料なし>ニッセイ」シリーズや「eMAXIS Slim」シリーズなど超低コストなインデックスファンドをそろえており、選択肢の最有力候補でした。また、2005年からサービスを提供するなど、後発の楽天証券やマネックス証券、松井証券などのiDeCoと比べて運営管理の豊富な実績を持っていることも強みです。
そんなSBI証券のiDeCoプランですが、唯一の弱点が受給時のサービスでした。現在の制度ではiDeCoで積み上げた資産は60歳~70歳までに換金して受け取りを開始しなければなりません。iDeCoの受給は「一時金」として一括で受け取る方法と「年金」として分割して受け取る方法があります。これに関してSBI証券のiDeCoプランは従来、「一時金受取」と「年金受取」のどちらかでしか受給できず、iDeCo資産の一部を一時金で受け取った上で、残りを年金として分割して受け取るといった受給方法の“併用”ができませんでした。この点で受け取り方法の併用が可能だった楽天証券などのiDeCoプランに大きく劣後していたのです。
受給時の受け取り方法がなぜ重要なのかというと、iDeCoの優位性の一つである課税繰り延べ効果に大きくかかわってくるからです。現在の制度ではiDeCoの資産は拠出時に全額所得控除される代わりに、受給時に利益ではなく資産総額に対して課税されます(これが課税繰り延べ)。この際に一時金で受け取ると「退職一時所得控除」、年金で受け取ると「公的年金等控除」が適用され、控除の枠内でのみ節税効果が実現することになります。
退職一時金所得控除は勤続20年以下は勤続年数×40万円、勤続20年超の部分は勤続年数×70万円となっていますから、例えば勤続35年で定年退職した場合、退職一時所得控除は20年×40万円+15年×70万円=1850万円となります。この時に注意が必要なのが、退職一時所得控除はiDeCoだけなく勤務先から支給される退職金などを含めた金額が対象となることです。
この人に退職金が1500万円あり、iDeCo資産も500万円あり、iDeCo資産を一時金で受け取ったらどうなるでしょうか。退職一時所得は退職金とiDeCoの一時金が合算されますから2000万円。退職一時所得控除が1850万円ですから、これを控除した150万円の1/2である75万円が課税対象となります。退職金がさらに多い人や、転職によって退職一時所得控除額算定対象となる勤続年数が少ない人は、さらに課税対象額が大きくなるでしょう。ちなみに課税対象となった退職一時所得への税率は累進課税が適用されます。
こうした場合にiDeCo資産の受給に一時金と年金の併用が認められると非常にメリットが大きくなる。前述の例で言うと、iDeCo資産のうち350万円だけを一時金で受け取ると退職金とあわせた退職一時所得は1850万円となり控除の枠内に収まるので課税が発生しません。残りのiDeCo資産150万円は年金で受け取ればいいわけです。ちなみに年金で受け取る場合は公的年金等控除の対象となり、やはり控除額をた部分が課税対象となります。ここは所得区分で控除額が細かく分かれているので、国税庁のホームページなどを参照してください。
いずれにしてもiDeCo資産の受け取り方法で「一時金受取」と「年金受取」を併用できるということは、iDeCoの強みである課税繰り延べ効果を具体的な節税効果として実現するために極めて重要なのです。その意味で今回、SBI証券のiDeCoプランで両方の受け取り方法の併用が可能になったことは、加入者にとって朗報です。SBI証券のiDeCoプランは文字通り業界最高水準のサービスとなりますから、選択肢として最有力となりました。加入者である私自身も非常に嬉しいニュースでした。SBI証券にはこの調子で、さらなるサービス拡充に取り組んで欲しいと思います。
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【ご参考】
iDeCoに加入する場合、金融機関によって手数料や商品ラインアップが異なることに注意が必要です。現在、iDeCoプランの選択肢としてお薦めなのは運営管理手数料が無条件無料で低コストインデックスファンドをそろえるSBI証券セレクトプラン、楽天証券、マネックス証券、イオン銀行、松井証券です。iDeCoへの加入を検討している人は、これら金融機関のプランを研究することをお勧めします。いずれもネットから無料で資料請求できます。⇒SBI証券確定拠出年金プラン、楽天証券確定拠出年金プラン、イオン銀行確定拠出年金プラン、マネックス証券確定拠出年金プラン、松井証券確定拠出年金プラン