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2019年7月6日
GPIFの2018 年度運用実績は+1.52%に―国際分散投資の勝利
年金積立金管理運用独立行政法人(GPIF)の2018年度(18年4月~19年3月)の運用実績が発表されました。GPIFの運用は大きくマイナスになったときは一般メディアでも大きく報道されて不当な批判を受けるケースが多いので、せめてこのブログでは定例ウオッチによって運用の全体像を正確に発信したいと思います。GPIFの2018年度の収益率は+1.52%、収益額は2兆3795億円でした。詳細は業務概況書で確認できます。
「2018(平成30)年度業務概況書」(GPIF)
18年度は第3四半期(18年10~12月)に世界的な株価下落で約15兆円ものマイナスを記録したことでGPIFの運用を批判する人もいたわけですが、なんのことはない。第4四半期(19年1~3月)の株価回復で年度を締めてみればプラスリターンとなりました。まさに運用において短期的な収益変動に一喜一憂することの愚かさを思い知らせてくれます。そして、この運用を支えているのがポートフォリオの資産配分。まさに国際分散投資の勝利と言えるでしょう結果でした。
2018年度は18年末の株価大幅下落でかなり厳しい運用環境だったのですが、結果的にプラスリターンで終えることができるなど今回も見事な運用となりました。短期的な相場変動でも慌てずにポートフォリオの基本資産配分を維持しながら腰の入った運用を続けたことはパッシブ運用のお手本と言えるでしょう。
そして厳しい運用環境でもプラスリターンを確保できた要因はポートフォリオの資産配分にあります。主要4資産クラスの収益率を見ると国内株式が-5.09%と不振だった一方、外国株式は+8.12%と大幅に上昇しました。国内債券と外国債券も安定してプラスリターンを維持しました。もし外国株式の配分が小さく国内資産に偏重した資産配分だったら、おそらく18年度をプラスリターンで終えることはできなかったでしょう。これこそ国際分散投資の勝利です。
これにより18年度末の運用資産残高は159兆2154億円と過去最高となりました。市場運用開始来の累積収益額も65兆8207億円に達します。いろいろと言われるGPIFですが、ここまでは確実に年金積立金を増やしてきたことは事実です。特に18年度はインカムゲイン(配当・利子収入)が3兆を超え、やはり市場運用開始来の累積でも33兆9006億円に達します。トータルの累積収益の半分を配当・利子収入で得ているわけですから、長期投資にとってインカムゲインがいかに重要かということもわかります。
2019年度の運用がスタートしたわけですが、市場環境は一段と厳しくなっています。このためGPIFの運用も引き続き浮き沈みがあるでしょう。そうした中、やはり雑音も大きくなるはず。GPIFにはぜひ今後とも世間の雑音に負けずに、じっくりと腰を据えて長期・分散投資を徹底して欲しいと思います。少なくとも世の中にはGPIFの運用の意味を理解している国民が少なからず存在るするのだということを信じて欲しいと思います。