2018年11月15日

注目は新興国と日本―「iTrust世界株式」の2018年10月の運用成績



サテライトポートフォリオで少しだけ積立購入しているピクテ投信投資顧問の低コストアクティブファンド「iTrust世界株式」の2018年10月次運用報告が出たので定例ウオッチです。「iTrust世界株式」の10月の騰落率は-9.29%、参考指数であるMSCIワールド・インデックス(ネット配当込み)の騰落率は-8.93%でした。10月は世界的に株価が大きく下げる中で、参考指数を若干アンダーパフォームしています。ただ、ピクテでは株価に反発の兆しがあると強気の見方をしており、とくに注目しているのが新興国と日本の銘柄です。

10月の世界株式は米国の金利上昇から株式の割高感が増し、ハイテク株を中心に下落しました。さらに月末にかけては企業決算に一喜一憂する展開となり、月を通じても大幅に下落しました。業種別では資本財・サービスをはじめとして、エネルギー、情報技術、一般消費財・サービス、素材など景気敏感セクターの下げが大きく、相場全体を押し下げています。

これまで楽観論が主流を占めていた株式相場ですが、ここにきて明らかに悲観的な雰囲気が高まっています。ところがピクテは比較的強気の見通しを維持しているようです。「iTrust」の受益者に配信されるピクテの機関投資家向けレポート「Barometer」2018年11月号によると、「株価とバリュエーションの急激な反転が、経済あるいは企業のファンダメンタルズ(基礎的条件)の大きな変動を伴っていない」ことに着目し、中長期的には経済成長の減速や、インフレの進行、企業業績の反転の回避は困難としつつも、今回の株式市場の大幅下落が、再度の上昇余地を創り出しているとみているわけです。

なかでもとくに注目しているのが、史上最も割安水準にまで沈んでいる新興国と日本の銘柄。「アジアの新興国市場は、貿易戦争と中国の景気減速を巡る懸念を背景に年初来ほぼ
一貫して下落してきたことから、投資妙味が際立ちます。」と指摘するように、何かのきっかけで大反発する可能性を秘めているというのがピクテの見立てのようです。これは株式だけでなく債券や通貨にも当てはまるようで、新興国債券と新興国通貨は明らかに度を越した下げとなっているとのこと。やはり、どこかで反発の機会があるのではないかと見ているようです。

一方、米国株の中核ともいえる情報技術セクターは推奨ウエートをアンダーウェイトに引き下げました。10月の株価の調整を経ても、最も割高な水準に留まっており、ピクテの想定通り債券利回りが上昇基調となれば、これらセクターのグロース株は引き続き強い下げ圧力にさらされると考えるからです。 これまで世界の株式市場、とくに米国株を牽引してきた情報技術セクターのグロース株にとっては、まだまだ厳しい展開が続くのかもしれません。

【ご参考】
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