2018年10月22日

企業型確定拠出年金(企業型DC)導入企業や厚労省は、もっと真剣に自動移換者対策をやりなさい



先日、個人型確定拠出年金(iDeCo)加入者が100万人を超えたというニュースがあり、このブログでも紹介しました。加えてもうひとつの流れが企業型確定拠出年金(企業型DC)の普及が一段と拡大していることです。先日もソニーが従業員約3万人を確定給付年金から確定拠出年金に移行すると報じられています。

ソニー、確定拠出年金に完全移行 エレキ事業3万人(「日本経済新聞」電子版)

こういう形で日本でも普通の人が当たり前に投資する時代が来るに違いないのですが、一方で非常に気になる動きもあります。退職・転職などによって企業型DCがら離脱した人で、個人型DC(iDeCo)への移換手続きを行わなかったために資産が国民年金基金連合会に自動移換されてしまっている人の数が増加の一途を辿っていることです。はっきり言って、これは企業型DC導入企業や厚生労働省の怠慢です。不作為による過失と言ってもいいくらい。だから、企業型DC導入企業や厚労省は、もっと真剣に自動移換者対策をやりなさいと言いたい。

転職・退職などによって企業型確定拠出年金加入者の資格を失うと、6カ月以内にそれまで拠出してきた資産を個人型確定拠出年金(iDeCo)や他の企業型確定拠出年金に移換するか、脱退一時金の要件を満たす場合は脱退一時金請求手続きを行わなければなりません。これを放置すると、資産は国民年金基金連合会に自動移換されてしまいます。こうなってしまうと加入者人って極めて不利な状態になります。自動移換のデメリットに関して国民年金基金連合会はサイトで次のようにまとめています。

・資産の運用がされない。
・管理手数料を毎月取られる。
・自動移換中の期間は、老齢給付金の受給要件となる通算加入者等期間に算入されず、そのため受給可能年齢が遅くなることがある。

一切の運用がなされず、しかも管理手数料(現在は月額51円)がとられるのですから、どんどんと資産が溶けていくだけになります。まさに自動移換はなにひとつ良いことはなく、それどころか強烈なデメリットだけがある。なので、企業型DCに加入していた人が企業型DCのない企業に転職したりする場合は、かならずiDeCoに移換手続きしなければなりません。

ところが実際は、自動移換者数が増加の一途をたどっています。2018年8月末段階でのiDeCo(個人型確定拠出年金)の加入等の概況によると、自動移換者数は76万7530人(前年同月比13.5%増)。自主的に加入するiDeCo加入者が自動移換されるとは考えにくいですから、これはほとんどが転職・退職などによって企業型DCから流入してきたものだと考えられます。

自動移換者が70万人以上いるというのは、とんでもない数字です。この人たちは今後、別の企業型DCに入るかiDeCoに資産を移換しない限り、ただひたすらに資産が手数料負担によって溶けていくだけになります。企業型DCの資産というのは企業年金あるいは退職金の一部ですから、まさに“消えた年金”“消えた退職金”となるわけで、大変な社会問題でしょう。

こんなひどい状況を生み出したのは、はっきり言って企業型DC導入企業と厚労省の怠慢のせいです。退職時に移換手続きのフォローが全くできていない。とくに責任が重いのが企業型DC導入企業です。そもそも企業型DCは従業員を採用時に強制加入させているわけですから、退職によって加入者の資格を喪失する時にはきちんと移換手続きさせるのが最低限の責任ではないか。その責任を軽視するというのは、退職する従業員の資産などはどうなっても構わないという姿勢の表れであって、年金を提供する主体として無責任極まりない。これは自己責任原則とは全く別の話です。

また、自動移換者が相次いでいる現実に対して厚労省は企業型DC導入企業に対してもっと厳しい指導を行うべき。場合によっては何らかの処分を伴う規制を導入してもいいくらいです。こういう状態を放置しているから、いまだに「確定拠出年金は入るべきではない」「確定拠出年金は公的詐欺」といった誤解を含む悪評が一部で流布しているのです。それが制度普及の妨げになっているということを厚労省はもっと重く見なければならないでしょう。そうでなければ、国が目指す「貯蓄から投資へ」の移行など、夢のまた夢です。

だからもう一度言います。「企業型DC導入企業や厚労省は、もっと真剣に自動移換者対策をやりなさい」。

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【ご参考】
もし以前に加入していた企業型DCの資産が自動移換されている人がいたら、すぐにiDeCoへの移換手続きを取ってください。新規に掛金拠出しない場合でも運営管理手数料が無条件の金融機関がいくつもあります。現在、iDeCoプランの選択肢としてお薦めなのは運営管理手数料が無条件無料で低コストインデックスファンドをそろえるSBI証券、楽天証券、マネックス証券、イオン銀行、松井証券です(SBI証券は11月1日から新プランの受付も開始)。いずれもネットから無料で資料請求できますのでよく研究してください。⇒SBI証券確定拠出年金プラン楽天証券確定拠出年金プランイオン銀行確定拠出年金プランマネックス証券確定拠出年金プラン松井証券確定拠出年金プラン
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