2017年7月29日

企業型確定拠出年金も“やればできる子”―驚きの超低コストファンドが存在する



以前にブログでも書いたのですが、弟の勤務先の企業年金が、加入してた厚生年金基金の解散にともなって今年から企業型確定拠出年金(企業型DC)に移行することになりました。9月からの拠出に向けて正式に運営管理金融機関が決まったのですが、商品ラインアップを見せてもらって驚きました。じつに良心的なのです。企業型DCと言えば加入者個人が運営管理機関を選べないのをいいことに金融機関が高コストな“地雷商品”を埋め込んだプランが多いことでよく批判されるのですが、なかなかどうして。金融機関が本気になれば素晴らしいラインアップを提供できるということ。企業型DCも、“やればできる子”なのです。

弟の勤務先が導入する企業型DCの運営管理金融機関は、みずほ銀行です。その商品ラインアップが素晴らしい。あまり詳細に書くと弟の勤務先がバレるかもしれないので、各資産クラスのコスト最安値インデックスファンドだけ紹介します(信託報酬はすべて税抜年率)。

〔国内債券〕
みずほ信託銀行国内債券インデックスファンドS(信託報酬:0.085%)

〔国内株式〕
みずほ信託銀行国内株式インデックスファンドS(信託報酬:0.115%)

〔先進国債券〕
みずほ信託銀行外国債券インデックスファンドS(信託報酬:0.12%)

〔先進国株式〕
みずほ信託銀行外国株式インデックスファンドS(信託報酬:0.13%)

〔バランス型インデックスファンド〕
みずほ信託銀行マイブレンド株式30型S(信託報酬:0.125%)

「みずほ信託銀行インデックスファンドS」シリーズというのは、アセットマネジメントOneなど系列の運用会社が運用するファンドではなく、みずほ信託銀行の運用部門が直接運用するDC専用商品のようです。個人型確定拠出年金(iDeCo)なら、りそな銀行のプランにラインアップされている「りそなDC信託のチカラ」シリーズと同様の仕組みでしょう(りそな銀行は現在でも信託兼営銀行)。

ちなみに、プラン全体の商品本数は15本(元本保障型商品3本、投資信託12本)となり、新興国株式や新興国債券、REITに投資するインデックスファンドはありません。アクティブファンドもいくつか用意されていますが、こちらは普通のDC用ファンドです。また、バランス型アクティブファンドは、アセットマネジメントOneのリスクコントロール型ファンドである「投資のソムリエ<DC年金>」が2種類用意されていました。

いずれにしても伝統4資産クラスのラインアップが素晴らしい。私のように一般販売かiDeCoプランに含まれているインデックスファンドしか買うことができない人からすると「みずほ信託銀行インデックスファンドS」シリーズというのは、よだれが出そうになるくらい。なにしろ先進国株式インデックスファンドの信託報酬0.13%、国内債券インデックスファンドにいたっては0.1%を割り込む水準ですから。

こういったプランを企業に提案したみずほ銀行の姿勢は素晴らしいと思う。というのも、加入者が自分で商品ラインアップや手数料水準を比較して運営管理金融機関を選択できる個人型DC(iDeCo)と異なり、企業型DCは会社が採用した企業型DCプランに従業員は事実上の強制加入となるからです。強制加入の制度の運用商品で高い信託報酬を取るというのは、極めて悪質な行為でしょう。企業が掛金を負担するといえども、その掛金は拠出した段階で従業員個人の持分です(だから企業は掛金全額を損金計上できる)。だから、高コストな商品しか用意していない企業型DCというのは、金融機関と加入企業がグルになって強制加入させた従業員から資産を奪っていると批判されても仕方がないのです。

実際にオフ会などに行くと企業型DCに加入している人から「勤務先が加入している企業型DCプランがクソ。用意されている商品が高コストなファンドしかない」といった不満を聞きます。最近は一般販売されている投資信託の低コスト化が一段と進みましたから、企業型DCで購入しているDC専用ファンドの方が一般販売されているファンドよりも高コストといった逆転現象さえ起こっているようです。それは非常に問題でしょう。なにしろ企業型DCは、他のプランや商品に乗り換えることができないのですから。

その意味で企業型DCというのは、iDeCo以上に金融機関には低コストなファンドを提供する義務があると思う。なにしろ事実上の強制加入なのですから。そして、それは金融機関が本気で加入者個人に対するフィデューシャリー・デューティーを追求することで可能なはずです。実際に、みずほ銀行は極めて良心的な企業型DCプランを提供しています。“やればできる子”なのです。こうした姿勢を他の金融機関もぜひ見習って欲しいものです。

※企業型DCプランの改善が進まない理由のひとつが、まったく情報公開がなされていないことではないでしょうか。実際に私も弟から相談されて初めて「みずほ信託銀行インデックスファンドS」シリーズの存在を知りました。バンガードの創業者であるジョン・ボーグル氏が指摘したように運用業界の改善に必要なのは“日の光を当てること”です。それこそ厚生労働省あたりが指導して、企業型DCの運営管理機関になっている金融機関に対して、どういった商品ラインアップのプランを提供しているのか公開させるべき。そうすれば、いろいろと比較もされるようになる。企業型DCのプラン選択は労使合意事項(労組が無い場合は従業員代表)ですから、加入者は労働組合などを通じて具体的な改善を求めることがやりやすくなるはずです。
スポンサードリンク