2017年1月23日

目論見書、月報、運用報告書を改めて熟読しよう



私が投資信託やインデックス投資について本格的に勉強し始めたのは5年ほど前なのですが、その当時もっとも参考にしたブログの1つが、イーノ・ジュンイチさんが運営する「ファンドの海」でした。その中でも素晴らしいコンテンツが投資信託についての解説「投資信託のガイド|ファンドの海」です。イーノさん自身が「きっとネットでいちばん詳しい投資信託ガイドです」と書いていますが、まさに掛け値なしでその通りの内容だったのです。イーノさんの解説を読んで投資信託について基本的なことのすべてを学んだわけですが、そんな中でもいまだに印象に残っている文章があります。それは「つまらないけれど目論見書と運用報告書は読んでおこう」という言葉です。

つまらないけれど目論見書と運用報告書は読んでおこう(投資信託のガイド|ファンドの海)

私は今でもこのアドバイスを遵守していて、ファンドについて疑問に思うことや調べたいことがあると、まずは目論見書を確認します。そして目論見書だけでなく月報、運用報告書を熟読しています。すると、ほとんどの疑問は解消します。最近は日本でも良質なファンドが増えてきましたから、ファンドの細かく比較する必要性も高まっています。そんなときには改めて目論見書、月報、運用報告書を熟読することをお勧めしたいと思います。

投資信託全般に言えることですが、どうも日本では目論見書や月報、運用報告書をしっかりと読まずに商品を選んでいる人が少なくないようです。だから、すでに運用会社が目論見書や運用報告書を通じて公開している内容について盛んに質問したり議論したりするケースが少なくありません。これは運用会社や販売会社が目論見書よりも派手な販売用資料やセールストークばかり使って商品をアピールしてきた弊害でもあるわけですが、やはり第一義的には受益者が不注意だと言わざるを得ません。

しかし、イーノさんが指摘するように目論見書や運用報告書というのは非常に大事なもので、ファンド選択の際には熟読するべきものです。そもそも目論見書の記載内容というのは法律で規定されていますから、そこに虚偽や誤解を招く表現は許されないからです。運用報告書も書式が決まっていますから、やはり誤魔化しようがない。だから、投資家がもっとも注意して確認しなければならない書類は、販売用資料などではなく目論見書と運用報告書です。

実際に目論見書や月報、運用報告書を熟読すれば、そこには受益者が知りたい情報のほとんどが載っています。例えば運用目的、運用の仕組み、信託報酬、手数料の内訳などなど。過去の運用成績や実質コスト、インデックスファンドの場合はベンチマークとの乖離、そして保有銘柄といったこともほとんどが運用報告書を読むことで分かります。

だから、ファンドについてなにか疑問に感じることがあれば、改めて目論見書、月報、運用報告書を熟読すべき。特に細かな数値データに関することは、なによりも運用会社が発表している正式の書類で数値を確認するべきです。独自の解釈で数値データに関する議論を展開することは、その熱意は評価するものの、あまりお勧めできません。なぜななら計算の前提となる基礎データの入手が個人投資家レベルでは難しい場合が多いからです。そして、基礎データが入手できないからといって勝手に代替データを用いたり、独自の計算手法を“編み出して”物事の是非を議論することは誤解を招くことになる危険性すらあります。

受益者にとって目論見書や月報、運用報告書というのは、それほど大切なものです。だからこそ投資家はそれを熟読することが不可欠。そもそも自分のお金を託しているのですから、それぐらいの労力を惜しんではいけません。同時に、運用会社には目論見書や月報、運用報告書の記載内容をもっと充実させて欲しい。そこにどれだけ丁寧で詳細な内容を記載するかは、運用会社の受益者に対する姿勢を表すバロメーターだと思うからです。だから私は、目論見書や月報、運用報告書の内容が充実しているファンドを高く評価するようにしているのです。

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