2016年12月12日

”借金は悪”に決まっている



先日のオフ会でも少し話題になったのですが、最近あまりにも酷いと腹に据えかねていることがあります。それは「お金を借りる力」などということを声高に強調して、個人に対して安易に借金を勧める人がいることです。さらにその借金を原資に海外不動産投資などを勧めるのだから始末が悪い。バカなことを言ってはいけないと思う。今も昔も個人にとって“借金は悪”に決まってる。ましてや借入金を原資に投資するなどは、本来はしてはいけないことです。不動産購入や事業的に行う不動産投資の場合などは、ある程度の借り入れは已む得ませんが、実際に真摯な気持ちで不動産投資をしている人は、決して「お金は借りた方が良い」などといったことは言わないはずです。なぜなら、真摯な気持ちで不動産投資をしている人ほど、借金の恐ろしさを理解しているからです。だから、素人衆に安易に借金を勧めるなどは、ほとんど犯罪的行為だと思うのです。

借金の歴史は、おそらく人類の文明史以来のものでしょうが、その長い歴史の中で個人にとって借金は悪であるということは、ほぼ経験論的に証明されています。実際に歴史を振り返ると、借金ほど人心を荒廃させ、社会秩序を破壊したものはありません。だから人類は、有限責任法人という仕組みを考え出したのだし、返済の必要のない資金調達方法として株式会社という仕組みを発明したのです。だから現在でも、個人の借金と法人の借金は全く意味が異なる。

それでも個人は、ときに借金をしなければならない時があります。例えば現在でも住宅を買うとなれば、ほとんどの人がローンを組むでしょう。でも、ほとんどの人は泣く泣くローンを組んでいるのです。本当ならローンなど組みたくないはず。仕方なくローンを組んでいるからこそ、減税制度など様々なテクニカルを駆使して、少しでも借金の負担を小さくしようと努力している。そうやって苦労しながら借金を返している人の努力の前では、「お金を借りる力」や「お金は借りた方が良い」などという発言は、いかにも薄っぺらい。

事業として不動産投資などを営む場合も同様です。実際に真摯な気持ちで不動産投資をしている人は、個人・法人ともに、借入金の負担が事業にとってどれほど怖いものかよく理解しています。だから極めて慎重な借入戦略に心を配っている。やはり間違っても安易に「フルローンで中古マンションを買え」などと言ったアドバイスはしません。もし、そういったアドバイスをする人がいれば、何か別の目的があると疑うべきです。

なによりケシカランと思うのは、他人に投資のための借金を勧めるという行為そのものです。投資同様、借金も最後は債務者の自己責任原則が貫徹されます。だから両方とも安易に他人に勧めてはいけないのですが、とくに借金を他人の勧めることの方が罪は大きい。なぜなら、投資で失敗しても最悪資産がゼロになるだけですが、借金の場合はマイナスになってしまいます。そのとき債務者が被る打撃は、あまりに大きい。法人なら有限責任の範囲内で清算できますが、個人の場合は、それこそ命まで差し出して清算する必要に迫られます。

例えば件の人は主催するセミナーに参加した若い女性にも投資のための借金を勧めているそうですが、とんでもないことだと思う。男女ともに借金を背負うことは恐ろしいことですが、男性の場合は土方仕事に行くとかマグロ漁船に乗るといった方法で借金を返すことができるかもしれません。しかし若い女性の場合、それこそソープランドで働くといった選択肢しかなくなる。どっちもヤクザですが、後者の方がより人道的に悲惨だ。

個人にとって”借金は悪”ということは、ほぼ歴史的に証明された常識なわけですが、それでも「お金を借りる力」といった言葉が、何か新しい発想だと思えてしまうのならば、それはやはり”意識高い系”の病の一種でしょう。つまり、投資について勉強すればするほど、自分には特別な知識があると勘違いしてしまうということです。そして、そういった“意識高い系”の病を助長する“専門家”の行為というのは、やはりほとんど犯罪的です。そういうことを含めて、安易に素人に借金を勧めるような言説に対して、ますます腹に据えかねるのです。
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