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2016年9月10日
久しぶりに参考指数をアウトパフォーム―iTrust世界株式の2016年8月の運用成績
ピクテ投信投資顧問の低コストアクティブファンド、iTrust世界株式の2016年8月次運用報告書が出ましたので、今回も見ていきたいと思います。2016年8月の騰落率は+0.14%でした。参考指数であるMSCIワールド・インデックス(ネット配当込み)の騰落率は-0.05%となり、iTrust世界株式は久しぶりに参考指数をアウトパフォームしたことになります。参考指数との比較はある程度、長期的な視点で行う必要があるので、単月での勝ち負けはあまり意味がありません。ただ、ここしばらくはインデックスをアンダーパフォームする成績が続いていましたので、ようやく参考指数を上回るパフォーマンスが出たことで受益者としてもひと安心です。設定来の騰落率では、まだまだ大きく負けていますので、この調子で追い上げて欲しいものです。
8月は月初から原油価格が下落するなどで株式相場も軟調にスタートしたのですが、米国の7月雇用統計が良い数字になったり、英国中央銀行による金融緩和などから相場は上げ基調となりました。しかし月後半には米国の利上げ観測が強まったことで再び株価は下落するなど、あいかわらず方向感の定まらない展開が続いています。
業種別では、金融やエネルギー、情報技術などが市場平均を上回って上昇した一方、公益やヘルスケア、電気通信サービ スなどは下落しました。現在、iTrust世界株式のポートフォリオは情報通信銘柄のウエートが大きいですから、このあたりがインデックスをアウトパフォームするのに貢献したようです。
設定以来、なかなか参考指数を上回る成績を上げることができていなかったiTrust世界株式ですが、わずかとはいえ8月はインデックスをアウトパフォームし、受益者としてもちょっと安心しました。どうも最近は相場のキャラクターが変わる過渡期のような気がして、そのためにこれまで好成績を上げてきたアクティブファンドの成績が振るわない傾向があります。こういう局面で、どういったポートフォリオを作っていくのかが今後の運用成績を左右するのでしょう。とりあえず8月は良しとして、iTrust世界株式にはこの調子で頑張って欲しいものです。
さて、iTrust世界株式についてはもうひとつ大きな話題があります。9月末から受付を開始する楽天証券の個人型確定拠出年金(個人型DC)プランの商品ラインアップにiTrust世界株式とiTrust日本株式が入りました。iTrustシリーズは低コストなネット専用ファンドだけに販売会社が積極的に拡販するインセンティブが弱く、実際に資産残高もなかなか伸びていないのが弱点です。しかし楽天証券の個人型DCプランにラインアップされたことがファンドに好影響を及ぼす可能性があります。なにしろDCは原則60歳まで換金できませんので、上手くいけばDCを通じてiTrustシリーズに長期の運用資金が安定的に流入することが期待されるからです。こういったことも含めて、引き続きiTrustシリーズには注目したいと思います。
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