2016年8月14日

40年間変わらぬ運用哲学を貫くバンガードに感心―“バンガード・エフェクト”は偉大だ



インデックス運用のパイオニアであるバンガードがインデックス運用を開始して今年で40周年になります。それを記念して、日本法人であるバンガード・インベストメンツ・ジャパンのディビッド・サーマック社長とモーニングスター・ジャパンの朝倉智也社長による対談が映像と記事でアップされていました。



特別インタビュー「インデックスファンド発売40周年 世界の投資家から支持されるバンガード」(モーニングスター)

バンガードの主張というのはいつも同じなのですが、それは40年間変わらず同じ運用哲学を貫いてきたということを示しており、本当にすごいことだと感心します。とくに受益者の利益を第一に考え、運用コストの引き下げに努力してきた姿勢は、まさに「バンガード・エフェクト(バンガード効果)」を各国で起こしてきました。現在も純資産残高を拡大させていることを考えると、“悪貨が良貨を駆逐する”傾向の強い金融業界にあって、その功績はやはり偉大だといえます。

サーマック氏の話を聞いて改めて感心したのが、バンガードが運用業界における低コスト化の牽引者だったということです。この40年間、バンガードは自社のミーチュアル・ファンド(投資信託)のコストを継続的に引き下げ、2015年の平均経費率はわずか年0.18%となっています。これはETFも同様で、バンガードのETFの平均経費率は2004年に0.22%だったものが2016年3月末には0.12%。そしてETFの運用残高は約60億ドルから5310億ドルにまで拡大しています。これに引っ張られる形で米国籍投信の平均経費率が低下しています。

つまり、バンガードが低コストなミーチュアル・ファンドやETFを投資家に提供し、そこに資金が集まることによって、他の運用会社も対抗上、経費率を引き下げざるを得なくなっているという構図が読み取れます。まさに「バンガード・エフェクト」と呼ぶことができるでしょう。こうした効果を米国だけでなく進出先の各国で引き起こしたわけですから、やはり「バンガード・エフェクト」は偉大です。

なぜバンガードがこれだけのコスト引き下げが可能なのかという説明も、いつ聞いても感心します。通常、運用会社には企業としての所有者、すなわち外部の株主が存在するのですが、バンガードは運用会社をファンドが保有する形態をとりますので、ファンドの受益者が運用会社を間接的に保有するという一種の相互会社のような企業形態をとります。受益者と運用会社株主の間にある利益相反の問題というのは、フィデューシャリー・デューティーの観点から運用ビジネスの大きな課題なのですが、バンガードは独自の企業形態をとることで、この難しい問題を解決しています。このアイデアは創設者であるジョン・C.ボーグル氏の思想が色濃く反映されていて、やはりバンガードの特異性を際立たせています。

こういう運用哲学を40年間変わらず貫いてきたという首尾一貫さに感心しました。最近、日本でも海外ETFを購入する際の手数料も安くなり、特定口座対応も進みましたから、バンガードのETFを買うハードルは随分と低くなりました。だから今後は日本でも「バンガード・エフェクト」にも期待したいところですし、すでにその兆候は出ているとも感じています。

私はバンガードのミーチュアル・ファンドやETFを直接は保有していませんが、SBI証券確定拠出年金積立プランで積み立てているEXE-iシリーズにバンガードのETFが複数組み込まれていますので個人的にもバンガードには頑張って欲しいと思っています。また、セゾン投信セゾン・バンガード・グローバルバランスファンドを通じてバンガードのミーチュアル・ファンドへ間接的に投資している人もいるでしょう。そういう人にとっても非常に心強い内容の対談だったのではないでしょうか。

なお、バンガードからはすでに創業40周年を記念するニュースレターが出ています。これも非常に興味深い内容なので一読の価値があります。

In The Vanguard バンガード創業40周年記念特集(ザ・バンガード・グループ)

【ご参考】
バンガードのユニークさというのは創業者であるジョン・C.ボーグル氏の独自の運用哲学によるものが非常に大きいです。その哲学は著者、『インデックス・ファンドの時代―アメリカにおける資産運用の新潮流』で詳細に述べられており、ブログでも取り上げました。

『インデックス・ファンドの時代』-いま読まれるべきは「第4部 ファンドの運用について」だ

インデックス運用について本格的に勉強するなら基本文献の1冊ですので、関心のある人は読んでみるといいでしょう。

スポンサードリンク