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2016年7月18日

これが私の個人型確定拠出年金ポートフォリオ―SBI証券DCプランで選んだファンドとその理由



先日、ブログで報告したように個人型確定拠出年金が無事にSBI証券確定拠出年金積立プランに移換されました。せっかくSBI証券のプランに移ったのだから商品ラインアップの豊富さを生かしてポートフォリオを変更しました。とくに大きな変化ではありませんが、新たにグローバル中小型株ファンドを組み入れたのが特徴です。実際にポートフォリオを組んでみて感じたのですが、SBI証券のプランは低コストでかなりいろいろなバリエーションのポートフォリオを組むことができます。ポートフォリオは百人百様ですから、どんな配分にしても低コストを実現できるというのは極めて大きなメリットだといえるでしょう。【10月15日に内容を一部追記】

まず最初に断っておくと、私は個人型確定拠出年金(DC)のポートフォリオと通常の特定口座で投資しているポートフォリオを分けて管理しています。正統派の考え方では確定拠出年金もアセットアロケーション全体の中で位置付け、DC口座には期待リターンがもっとも高い商品を優先的に割り当てることで節税効果と投資効率を最大化するべきとなります。これは正しい考え方ですし、実際にベストな方法です。

ではなぜ私は個人型DC口座の資産を特定口座と分けて管理しているかというと、ひとつは純粋に技術的な問題で、特定口座での運用はバランスファンドをコアにしているから。投資対象がせいぜい4~5資産カテゴリーまでなら個別ファンドを組み合わせてポートフォリオを作ってもリバランスの手間暇は大したことありませんが、私は“分散投資至上主義者”なので8資産カテゴリーに投資しています。はっきり言って手動でリバランスするのが面倒くさすぎるのです。そして、特定口座でバランスファンドをコアにしている以上、DC口座も同じようなポートフォリオ配分で保有することで全体のアセットアロケーションを管理することにしました。

また、これはあくまで個人的な考えなので普遍性はありませんが、DC口座は60歳まで一切の換金ができないなど他の口座とは流動性のレベルがまったく異なります。しかも換金時に退職所得控除や公的年金所得控除を使ってこそ初めて節税メリットを具現化できる。このため、ある程度の出口戦略が必要だと考えています。だから、現在は株式にオーバーウエートしたポートフォリオで運用していますが、50代後半に入れば徐々に低リスクな国内債券ファンドや定期預金にシフトしていくことを計画しています。まあ、このあたりの考え方はひとそれぞれなので、最終的には自分が納得も得心もできる方法でポートフォリオを組むのが正解でしょう。

SBI証券のラインアップの特徴を生かしたポートフォリオを組みました


今回、新たに組んだ確定拠出年金のポートフォリオの構成は以下のようになります。基本的に債券30%・株式65%・REIT5%、国内(+為替ヘッジ付)資産約20%・海外資産約80%という配分です。SBI証券のDCプランの特徴を生かしてグローバル中小型株式を組み込んだことが特徴です。



それでは実際にポートフォリオに組み込んだファンドを見てみましょう。カッコ内は年率信託報酬(税抜)です。

【日本債券+先進国債券(為替ヘッジ付)】
三菱UFJ 国内債券インデックスファンド(確定拠出年金)(0.12%)
インデックスファンド海外債券ヘッジあり(DC専用)(0.26%)

じつは今回のポートフォリオ決定でもっとも悩んだのはこのクラスです。現在、日銀によるマイナス金利政策で国内債券インデックスは最終利回りがマイナス圏に沈んでいます。既発債の価格上昇でトータルリターンはプラスを維持していますが、債券投資というのは金利に対して投資するのが基本だと考えれば、長期的に国内債券への投資はやりづらい。そこで苦肉の策として為替ヘッジ付先進国債券で一時的に代替することにしました。すでに購入済だった分を国内債券ファンドで保有しておき、新規購入は為替ヘッジ付先進国債券ファンドに割り当てます。ただ、ヘッジ付外債も為替ヘッジコスト高騰で利回りが急低下していますから、どこまで国内債券を代替できるかは分かりません。このため、引き続き試行錯誤と研究を続ける予定です。恐らく今後、ポートフォリオをさらに改革するとすれば、この国内債券クラスとなるでしょう。

【先進国債券】
三井住友・DC外国債券インデックスファンド(0.21%)

【新興国債券】
三菱UFJ DC新興国債券インデックスファンド(0.52%)

外国債券へ投資は為替リスクのわりに期待リターンが低いので人気がないのですが、個人的にはポートフォリオに組み込むことで長期的な分散効果は十分にあると見ています。ただ、先進国を中心に低金利が進んでいますので、とにかく低コストであることがもっとも重要。また、新興国債券は不要との考えもメジャーですが、私は十分に分散されたポートフォリオなら新興国債券への投資もありだと思っています。新興国の最大の弱点は通貨の弱さですが、これも昔に比べるとかなり強くなってきました。通貨安のリスクが低下すれば、格付けもだんだんと上がってきていますから、やはり分散効果は出せると考えています。ただ、SBI証券のDCプランの弱点は、この新興国債券ファンドでしょう。コスト面で平凡だからです。

【日本株式】
ニッセイ日経225インデックスファンド(0.25%)
三井住友・DC日本株式インデックスファンドS(0.19%)

日本株式クラスも、やや悩むところでした。本来ならTOPIXに連動するインデックスファンドを組み入れたいところですが、SBI証券のプランにラインアップされているMHAM TOPIXオープンは信託報酬が年0.65%(税抜)と一時代前の水準です。そこでニッセイ日経225インデックスファンド(信託報酬0.25%)かSBI TOPIX100・インデックスファンド(信託報酬0.24%)、もしくは野村DC・JPX日経400ファンド(信託報酬0.25%)の中から選ぶことになります。指数として日経平均、TOPIX100、JPX日経400のどれがいいのかとなれば、いずれもクセがあって難しいところ。個人的にJPX日経400に対してやや懐疑的にになっていることから、銘柄数の多い日経平均連動を選ぶことにしました。しかし、このあたりは最終的に好みですから、信託報酬が割高でもMHAM TOPIXオープンを選ぶというのもありでしょう。
【10月14日追記】10月14日から新たに三井住友・DC日本株式インデックスファンドSがラインアップされましたので、日本株式クラスの積立商品を変更しました。信託報酬は0.19%(税抜)と現段階で最低水準であり、ベンチマークもTOPIX(配当込み)ですから、TOPIXに投資するなら、この商品の一択といえるでしょう。

【先進国株式】
DCニッセイ外国株式インデックス(0.21%)

このクラスはDCニッセイ外国株式インデックスの一択です。先進国株式インデックスファンドとしては最低水準の信託報酬ですから。確定拠出年金をアセットアロケーション全体に位置付ける正統派のやり方なら、このファンド100%で運用するのがもっとも投資効率がいいでしょう。こういうお宝ファンドがあるからこそ、DCに投資妙味があります。今回、このファンドを新たにラインアップに加えたSBI証券の判断は正しかった。

【新興国株式】
EXE-i新興国株式ファンド(0.23%+投資対象ETF信託報酬0.142%程度)

海外ETFにファンド・オブ・ファンズ形式で投資するファンドなので純粋なインデックスファンドではありませんが、新興国株式クラスはEXE-i新興国株式ファンドを選びました。通常のインデックスファンドとしては三菱UFJ DC新興国株式インデックスファンドがありますが信託報酬が年0.55%(税抜)なのでDC専用ファンドとして投資妙味がありません。ただ、注意すべきは三菱UFJ DC新興国株式インデックスファンドのベンチマークがMSCIエマージング・マーケット・インデックスなのに対し、EXE-i新興国株式ファンドで組入れ比率90%を占めるシュワブ エマージング・マーケッツ エクイティETFのベンチマークはFTSE・エマージング・インデックスだということ。両者の最大の違いは韓国の扱いです。MSCIは韓国を新興国株式インデックスに組み入れていますが、FTSEは先進国株式インデックスに組み入れています。このためEXE-i新興国株式ファンドは10%のウエートで保有するiシェアーズ コア MSCIエマージング・マーケッツETFに含まれる部分だけで韓国企業に投資することになります(全体のウエートとしては1.5%程度)。韓国企業の扱いをどのように考えるかで判断が分かれるでしょう。個人的にはMSCIエマージング・マーケット・インデックスでの韓国のウエートはやや大きすぎると感じているので、その面でもEXE-i新興国株式ファンドのほうが好みなのです。

【グローバル中小型株】
EXE-iグローバル中小型株式ファンド(0.23%+投資対象ETF信託報酬0.124%程度)

新たにDC口座のポートフォリオに組み入れたクラスです。EXE-iグローバル中小型株式ファンドは日本を含む世界の中小型株に低コストで投資できる貴重なファンドです。インデックス投資は、どうしても大型株中心のポートフォリオとなりますから、こういった中小型株ファンドを組み入れることで分散の高度化を狙いました。長期的には小型株の方が大型株よりも収益率が相対的に高く出やすいという、いわゆる“小型株効果”も狙いながら、ポートフォリオのアクセントとして組み入れたわけです。こういうユニークなファンドに投資できるのもSBI証券のDCプランの利点です。

【REIT】
EXE-iグローバルREITファンド(0.23%+投資対象ETF信託報酬0.138%程度)

REITもポートフォリオへの味付けとして少額だけ組み入れました。EXE-iグローバルREITファンドは日本を含む先進国REITに海外ETFを通じて投資するので、これ1本で十分という考え方です。国内REITに別個に投資する場合、DCニッセイJ-REITインデックスファンドがラインアップされていますが、信託報酬が年0.55%(税抜)なので、やはりDC専用ファンドとしては投資妙味が薄いです。

ポートフォリオ全体のコストは年率0.3%程度に


このポートフォリオ全体でのコストは年率0.3%程度となります。似たようなポートフォリオ配分でこれまで運用していた琉球銀行のプランより低下しました。しかもSBI証券のプランは残高50万円以上で運営管理手数料が無料になるので、それも加えると全体コストが大幅に低下したことになります。移換手続きは時間的にロスとなりましたが、やはり長期的なコスト低減効果は大きいといわざるを得ません。
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ポートフォリオが決定したことで、今月から個人型DCの運用は新ステージに入ります。受給資格を得る60歳に向けてコツコツと投資を続けていくことになります。

【追記】
現在はSBI証券、楽天証券、マネックス証券、イオン銀行、松井証券のiDeCoプランがいずれも運営管理手数料が無条件無料で低コストインデックスファンドをそろえています。iDeCoへの加入を検討している人は、これら金融機関のプランも研究することをお勧めします。いずれもネットから無料で資料請求できます。⇒SBI証券確定拠出年金プラン楽天証券確定拠出年金プランイオン銀行確定拠出年金プランマネックス証券確定拠出年金プラン松井証券確定拠出年金プラン

また、解説書を読んで勉強することも大事です。ちなみに、最新の情報を盛り込んだ解説書としては大江英樹さんの『はじめての確定拠出年金投資』と山崎元さんの『確定拠出年金の教科書』竹川美奈子さんの『一番やさしい! 一番くわしい! 個人型確定拠出年金iDeCo(イデコ)活用入門』を挙げておきます。

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