2016年4月11日

見せてもらおうか。銀行のロボ・アドバイザーの性能とやらを!



投資の際にポートフォリオ構築やリバランスを自動的に行ってくれるサービスにロボ・アドバイザーがあります。米国ではかなり普及しているようですが、最近では日本でも大手銀行系の金融グループが本格的にサービス提供を開始しました。例えば三菱UFJ国際投信のPORTSTAR(ポートスター)や、みずほ銀行のSMARTFOLIO(スマートフォリオ)です。いずれもポートフォリオ提案に限定したサービスですが、これはこれでなかなか面白いです。そこで実際の提案にどの程度の妥当性があるのか試してみました。見せてもらおうか。銀行のロボ・アドバイザーの性能とやらを!

まずは三菱UFJ国際投信のポートスターから。ポートフォリオ構築のために「投資期間」「投資方針」「理想とする資産額推移パターン」「理想とする年間運用成績のパターン」「暴落時の対処法」といった5つの質問に答えるだけです。それで出た結果は以下の通りでした。



次は、みずほ銀行のスマートフォリオです。こちらはもう少し質問が細かくなっていて、対象者の「年齢」「資産運用の目的」「現在の年収」「経済・金融知識のレベル」「暴落時の対処法」「理想とする運用結果のパターン」「定期・定額投資の有無」という7つの質問に答えるようになっています。その結果が以下の通りです。



これらに対して、現在の私の目標ポートフォリオは、以下のようになっています(ただし、これはインデックスファンドによる積立投資を実行している部分だけでです。ほかに祖父から譲渡された個別株やサテライトで投資・保有している個別株、そして生活防衛資金や余裕資金など無リスク資産がありますので、純粋な全体アセットアロケーションではありません)。



いずれも非常に細かいポートフォリオ配分となっていますが、ざっくりと伝統4資産+REITのカテゴリー別に分けると次のようになります。また、2003年3月から2016年3月までの各インデックスの実績からリターン・リスク(年率)を出してみました(過去の実績リターン・リスクの算出は、野村アセットマネジメントの投信アシストのポートフォリオ分析を使いました。厳密な期待リターン・リスクではないので注意)。

〔ポートスターの提案〕・・・リターン8.0%/リスク15.4%(年率)
国内債券7%
海外債券17%
国内株式22%
海外株式33%
国内REIT9%
海外REIT12%

〔スマートフォリオの提案〕・・・リターン8.1%/リスク15.0%(年率)
国内債券6%
海外債券10%(ヘッジ付)
国内株式14%
海外株式42%
国内REIT10%
海外REIT18%

〔私の目標ポートフォリオ〕・・・リターン7.5%/リスク14・5%(年率)
国内債券9%
海外債券33%
国内株式13%
海外株式37%
国内REIT4%
海外REIT4%

こうやって比較してみると、ロボ・アドバイザーの提案は、なかなかいい線いっていると思います。実際の目標ポートフォリオとの大きな違いは、債券の比率がロボ・アドバイザーでそうじて低く、その分は国内外のREITがオーバーウエートとなっていることでしょうか。これは非常に興味深い結果です。私が目標ポートフォリオを考えたのは2012年ごろですが、そのころと比べてリスク最適化における機能に債券とREITで違いが生じているのかもしれません。なにしろ世界的な金融緩和が続いたことで、世界的に債券投資の機能が低下していますから、さもありなんと思います(あと、目標ポートフォリオで債券の比率が高いのは、私が個人的に外債への投資が好きだからです)。

なかなかロボ・アドバイザーは優秀だといっていいでしょう。ガンダムほど圧倒的ではないけれども、たぶんボールぐらいの働きはしてくれそう。そしてとても重要なことは、現在の日本の大手金融機関の店頭で投資信託を販売している銀行員と比べれば、圧倒的に優秀だということ。はっきり言って、銀行で投資信託の購入を相談するくらいなら素直にロボ・アドバイザーの提案に従った方が、よほど適正な商品を選べます。

ちなみにポートスターの場合は、提案結果に応じてeMAXIS最適化バランスの中から適当なファンドが提案されます。スマートフォリオの場合も、i-mizuhoを使った商品構成を提案してくれます。いずれも信託報酬は年0.5%程度になりますから、悪くありません。提案されたポートフォリに従って、コスト最安値のインデックスファンドを組み合わせれば、もっと低コストで適正なポートフォリオを実現することもできます。

ロボ・アドバイザーの有効性の是非については、たぶんこれからもいろいろな議論が出てくると思います。無料でサービスを提供することで、自社商品への囲い込みツールになっているという面もありますから。その意味では、三菱UFJ国際投信のポートスターも、みずほ銀行のスマートフォリオも、それぞれ自社にeMAXISとi-mizuhoという良心的な低コストインデックスファンドがあるからこそ妥当性が担保されているともいえます。しかし、すくなくとも投資を始めようと思っていても、なにを買えば分からないという投資初心者が、銀行など金融機関のセールスマンの言うがままにひどい商品を買わされる危険性は減るのだから、それはそれで意義あることです。そういう意味で、ロボ・アドバイザーの普及は金融機関の商品販売のあり方を変えてしまうかも。もういい加減なことを言って投資初心者をハメ込むことが難しくなるわけですから。

【追記】
投資一任を含む本格的なロボ・アドバイザーを使ったサービスとしては、お金のデザインによるTHEOや、エイト証券の8Now!があります。ただ、いずれの海外ETFを使ったポートフォリオ提案と運用を行いますので、とても投資初心者向けとは思えません。それこそすべての国内ETFや低コストなインデックスファンドを対象にポートフォリオ構築を提案するロボ・アドバイザーがあれば面白い。国内の証券会社は、そういったサービスを検討してみてはいかがでしょう。
スポンサードリンク