定例のひふみ投信ウオッチです。このほど発行された2016年3月次運用レポートによると、ひふみ投信の2016年3月の騰落率は+10.5%でした。参考指数であるTOPIX(配当込)の騰落率は+4.8%ですから、これをはるかに上回る素晴らしいパフォーマンスを見せてくれました。3月は世界的に株価も回復傾向にあったのですが、それでも参考指数の倍以上の上昇を確保したというのは特筆に値します。3月31日段階での純資産残高は308.14億円(前月は275.32億円)、受益権総口数は9,098,403,798口(前月は8,985,384,060口)でした。純資産、口数ともに大きく増加しており、引き続き投資家からの高い支持を得ていることをうかがわせます。
1月、2月と我慢の相場が続いたのですが、3月は市況が一気に改善しました。ひふみ投信は我慢の局面でかなり大胆な組入れ戦略を実行したことが、3月の素晴らしいパフォーマンスにつながったようです。最高運用責任者である藤野英人社長も次のように述べています。
円高を見越して自動車や電機企業を避けたことや、マイナス金利の影響を受ける銀行株を殆ど持たなかったという大胆な戦略が奏功したこと、加えて比較的テーマ性のある中小型株への投資が奏功した面があります。これはリスクを伴う戦略ですが、かなり確信を持って行った投資行動でした。まさにに“お見事”としかいえません。こういう大胆な投資行動こそ、アクティブファンドの醍醐味です。その上で、4月以降は電機企業や輸出ハイテク企業の保有比率を引き上げることを検討しているというから驚き。円高傾向が強まったことで電機や輸出ハイテク企業の業績にも赤信号がともっていますが、見方を変えれば、株価が非常に割安になる局面ともいえる。そこで優良銘柄を安値玉で拾うというのは、逆張り戦術としては絶好のタイミングなのかもしれません。
今後の投資のテーマとして「日本の覚醒」を掲げるそうです。「経営の覚醒」「業績の覚醒」「技術の覚醒」という観点から投資を行うとのこと。具体的な内容については、今後のレポートなどで説明するそうですので、これも楽しみです。
また、注目すべきは海外企業の調査もスタートさせるということ。ひふみ投信とひふみプラスのマザーファンドは、すでに純資産残高が1100億円を超えています。日本株に投資するファンドの場合、だいたい資産3000億円を超えると運用の機動性を失い、パフォーマンスがインデックスに対して大きくアウトパフォームするのが難しくなるという傾向があります。この問題は、ひふみ投信でも十分に認識しており、藤野氏も対策を研究すると以前から指摘していました。私も対応策として海外株式にまで投資対象を広げる方法があると指摘してきましたが、どうやら本当にその方向を検討するようです。これはこれで非常に楽しみです。
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月次運用レポートに先立って発表された中間レポート恒例の組み入れ銘柄紹介ですが、今回はヨシックス(3221)でした。これも私はまったく知らない会社です。なんでも280円(税抜)均一価格の居酒屋「ニパチ」や1貫59円(税抜)から本格的な握り寿司が味わえる寿司居酒屋「や台ずし」などを展開する居酒屋チェーンだとか。また、もともとは外食店舗の設計・施工に特化した建築会社だったというのもユニーク。準主要駅周辺など出店コストの低い地域に店舗展開する「田舎戦略」を強みにしているそうです。あくまで印象論ですが、これは非常に面白い銘柄だと感じました。最近、主要駅周辺の飲食店よりも、ちょっと裏横丁にある店の方が流行っているのは個人的にも感じていました。出店コストが安い分、食材に投資できるので料理が美味しく、顧客の満足度が高いからです。そこに目をつけるあたり、あいかわらずこのファンドは鋭いです。
さて、4月に入ってから株式相場は再び急変し、風雲急を告げています。月初から連日の大幅下落で、3月の上昇をほとんど打ち消してしましました。再び厳しい運用環境となっていますが、この中でひふみ投信がどういった動きを見せるのか非常に楽しみになってきました。
【ご参考】
ひふみ投信は、銀行や証券会社といった販売会社を通さない直販ファンドです。ネットから無料で口座を開設することができます。⇒ひふみ投信
ひふみ投信と同じマザーファンドに投資する「ひふみプラス」はSBI証券 、カブドットコム証券、楽天証券、マネックス証券など主要ネット証券や地方銀行などで買うことができます。