2016年2月28日

JP4資産バランスファンド【愛称:ゆうバランス】ー言ってることは立派だが、やってることは志が低い



日本郵政グループは昨年8月、野村ホールディングス、三井住友信託銀行と合弁で資産運用会社、JP投信を立ち上げました。そのJP投信が設定・運用するバランス型インデックスファンド、JP4資産バランスファンド【愛称:ゆうバランス】が2月18日に設定され、22日からゆうちょ銀行で販売されています。モーニングスターにJP投信の清野佳機社長のインタビューも掲載されています。

分かりやすく、低リスク、低コストの「JPファンド」を広めたい=JP投信社長の清野佳機氏に聞く(上)(モーニングスター)
分かりやすく、低リスク、低コストの「JPファンド」を広めたい=JP投信社長の清野佳機氏に聞く(下)(同上)

なかなか言ってることは立派なのですが、肝心の商品であるJP4資産バランスファンドを見る限り、やってることは志が低いとしか言いようがない残念な商品になってしまいました。

インタビューの中でJP投信の清野社長は「投資をしたことがない方にも分かりやすい、シンプルな商品で、徹底的に運用コストを抑えた商品」を提供するために日本郵政グループが独自にJP投信を立ち上げた説明しているのですが、そこで次のようなことを語っています。
もう一つは、運用コストです。高付加価値の商品は、それに見合ってコストも高くなりがちです。貯金の金利がゼロ%台の時に、毎年1%を超えるような運用コストがかかってしまうと、預け替えにちゅうちょする気持ちが出てしまいます。世界的な低金利で期待リターンも低くなっているので、極限にまで低い運用コストの商品が出せないかと考えました。
「極限にまで低い運用コストの商品が出せないかと考えました」とは、その言や良し。立派な考え方です。そして開発したのがバランス型インデックスファンドであるJP4資産バランスファンドなのですが、その中身は以下のようなものでした(購入時手数料、信託報酬は税抜)。

JP4資産バランスファンド安定コース
(資産配分:日本債券55%・先進国債券15%・日本株式20%・先進国株式10%)
購入時手数料:上限1%
信託報酬:0.46%+0.138%程度=0.598%程度
決算:年6回

JP4資産バランスファンド安定成長コース
(資産配分:日本債券40%・先進国債券10%・日本株式30%・先進国株式20%)
購入時手数料:上限1%
信託報酬:0.46%+0.141%程度=0.601%程度
決算:年6回

JP4資産バランスファンド成長コース
(資産配分:日本債券20%・先進国債券10%・日本株式45%・先進国株式25%)
購入時手数料:上限1%
信託報酬:0.46%+0.144%程度=0.604%程度
決算:年6回

この程度の商品で「投資するにあたって内容が分かりやすく「ハードルが低い」こと、「リスクが低い」「コストが低い」ことが共通しています。投資が初めての方にフォーカスした商品内容になっています」とドヤ顔されても困ります。

安易なFoFでお茶を濁していませんか?


JP4資産バランスファンドのコンセプト自体は悪くありません。新興国には投資しないことでリスクを抑え、国内外資産の比率も日本を厚めにすることで為替リスクを抑えるというのは、投資初心者向けバランスファンドとしては、ひとつの見識です。ただ、日本の債券や株式にオーバーウエートして投資するバランス型インデックスファンドとして、信託報酬が0.6%前後というのはあまりにコストが高すぎる。ちなみに、比較的似た資産配分のバランス型インデックスファンドであるニッセイアセットマネジメントの<購入・換金手数料なし>ニッセイ・インデックスバランスファンド(4資産均等型)は信託報酬0.34%です。すでにゆうちょ銀行で販売されている三菱UFJ国際投信のeMAXISバランス(4資産均等型)ですら信託報酬0.5%です。

JP4資産バランスファンドが、なぜこんな割高なコストになるのかといえば、三井住友トラスト・アセットマネジメントと野村アセットマネジメントの適格機関投資家専用インデックスファンドに投資するファンド・オブ・ファンズ(FoF)だからです。FoFは信託報酬が二重にかかりますから、いくらJP投信が信託報酬を割安に設定しても実質の信託報酬が割高になってしまう。

結局、合弁パートナーにおんぶに抱っこなわけです。これでは、日本郵政がJP投信を設立し、自前の投資信託を設定・運用したとしても、たんに信託報酬に含まれる運用会社の取り分を確保したいだけだと思われても仕方がありません。自前で運用会社を立ち上げたのなら、きちんとマザーファンドも自前で作り、自主運用するべきです。なにしろ日本郵政グループは事実上、日本最大の金融機関なのですから。安易なFoFでお茶を濁すようでは、志が低いのです。

また、年6回決算というのは、2カ月おきに分配金を出せる仕組みです。1月、3月、5月、7月、9月、11月を決算月としていますが、ご丁寧にもこれは公的年金の支払月ではない月です。高齢者に対して「年金が出ない月にも分配金が入ってきますよ」といったセールストークが繰り広げられる様子が目に浮かぶ。ようするに姑息なのです。これも志が低い。

こんな安易な商品を出すぐらいなら、日本郵政グループは販売会社に徹した方が潔いのでは。なにしろ全国に郵便局という巨大な販売ネットワークを持っています。この強みを生かして、それこそネット証券で販売されている低コストファンドを厳選し、それを徹底的に販売した方が、よほどフィデューシャリーデューティーにもかないます。そのあたりを日本郵政グループは、よく考えるべきでしょう。
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