ひふみ投信の2015年12月次運用レポートが出ました。ひふみ投信の12月の騰落率は+0.59%、参考指数であるTOPIX(配当込)の騰落率は-1.93%でした。前月に続いてTOPIX(配当込)を大きくアウトパフォームしています。参考指数がマイナスとなるなかでのプラスリターンですから立派なものです。大型株の組み入れ比率を引き下げるという戦略が成功したようです。12月30日段階での純資産残高は287.96億円(前月は280.26億円)、受益権総口数は8,405,531,999口(前月は8,228,878,784口)となり、いずれも順調に伸びています。
2015年12月の相場は米国の利上げ実施などで不透明感が強かったことや欧州中央銀行や日銀の追加緩和策が期待はずれだったことで全体としては軟調に推移しました。このため、ひふみ投信では次のような運用を行ったとのことです。
大型株のような外部環境の変化に影響を受けやすい企業への投資比率を引き下げる一方で、独自の成長が期待される企業への調査に注力して投資を実施しました。具体的には、ネットを活用したアパート経営など独自のビジネスモデルで今後の成長が期待されるインベスターズクラウド(1435)を新規に組入れました。なお、お客様からの資金流入に対しては、良い銘柄を発掘できるまで慌てる必要はないという考えから新たな株式買付けを行なわなかったため、ポートフォリオに占める現金の比率が前月末より上昇しました。大型株を減らして、現金を増やすという戦略が成功しています。いまの段階だからいえるのですが、年が明けてから大型株の状況はガタガタですから、12月段階でこの判断をしていたことにちょっと驚きです。やはり、こういった機動的な銘柄変更が可能なのがアクティブファンドの強みです。上手くいったときの効果が非常に大きい(まあ、普通は上手くいかないケースが多いのですが)。
今後の相場環境については「中国の株式市場の需給懸念、サウジアラビアとイランの国交断絶など国際情勢は波乱含みで、且つ為替相場も円高方向に向かいつつあります」と分析しているのですが、早くも的中してしまいました。年明けから株式相場は世界的に大混乱。とくに中国の株式市場の需給懸念は深刻です。北朝鮮による水爆実験といった思わぬ要因まで加わり、市場のセンチメントは極端に悪化しています。こうしたなか、ひふみ投信では次のような運用を行うとしています。
日本株市場においてこのような環境は、大型株にとってはより株価が下げる方向に作用しやすいので、運用資産に占める大型株の比率を少なくして、より成長力のある企業へシフトしていくことが大事だと考えています。また、現金比率は現状は以前より高めに推移していますが、15~20%程度の水準まで上げていく可能性もあります。引き続きポートフォリオの中から大型株を減らし、現金比率を高めていく。この効果は、すでに出ているようです。大発会から日経平均は連日の大幅下落ですが、ひふみ投信の下落率は、意外と粘っている。
本日の基準価額です。 ☆ひふみ投信 33,079 -177 -0.53% ☆ひふみプラス 26,919 -145 -0.54%
— レオス・キャピタルワークス公式ツイッター (@rheos123) 2016, 1月 7
1/7の基準価額です。マイナスですが、仕事ができたと思います。 https://t.co/XAV4EYSFOD
— ふっしーぎなカバです。 (@fu4) 2016, 1月 7
ちなみに1月7日の日経平均株価の騰落率は-2.33%、TOPIXは-2.08%でした。
2016年は早々から非常に厳しい相場となっています。とにかく市場のセンチメントが極端に悪化していますから。ひふみ投信も今月は非常に厳しい運用を余儀なくされると思います。その中で、どんな運用手腕を見せてくれるのか受益者の一人として楽しみでもあります。運用責任者の藤野英人社長はレポートの最後に次のように書いています。
ひふみの運用には楽観的です。それは、経済状況や相場状況にかかわらず成長する会社をたくさん発見することができるからです。短期的には相場状況で基準価額も変化しますし、マイナスに向かうこともありますが、2016年も「守りながらふやす」運用に徹してまいります。ぜひ楽観を失わずに、頑張って欲しいと思います。
さて、月次運用レポートに先立って発表されていた中間運用レポート恒例の組み入れ銘柄紹介ですが、今回はしまむら(8227)でした。ご存じ「ファッションセンターしまむら」のしまむらです。ここにきて低価格商品を強みとするアパレルといった“デフレ銘柄”を組入れてきたことは、ひふみ投信が今後の景況に対してどういった見方をしているのかということの一端を示しています。あと、ひふみ投信は妙に繊維・アパレル企業に詳しい。繊維・アパレルといえば、ファーストリテイリングのような例外を除くと斜陽産業の代表と思われがちなのですが、そういった分野にも注目しているあたりが渋いですね。
【ご参考】
ひふみ投信は、銀行や証券会社といった販売会社を通さない直販ファンドです。ネットから無料で口座を開設することができます。⇒ひふみ投信
ひふみ投信と同じマザーファンドに投資する「ひふみプラス」はSBI証券 、カブドットコム証券、楽天証券、マネックス証券など主要ネット証券や地方銀行などで買うことができます。