2016年1月7日

投資家は平和を愛す-地政学リスクはいかんともしがたい



年明け早々、株式相場が大混乱です。日経平均株価もNYダウも続落で、昨年末からすっかり景色が変わってしまいました。これはもう、どうしようもありません。もともと昨年12月の米国の利上げや、依然として続く中国経済への懸念から市場のセンチメントがそれほど良くなかったところに、年が明けるとサウジアラビアとイランの国交断絶など新たなリスクオフ要因が増えていました。そこに6日の北朝鮮による水爆実験です。こんな状況の中で新たに買いに向かえる投資家がいれば、それは本物の猛者だけでしょう。ようするに、投資にとって地政学リスクはいかんともしがたいものだということ。だからこそ、投資家は平和を愛するのです。

現在、世界のマーケットで起こっていることを豊島逸夫さんが連日、ブログで解説してくれていて、非常に参考になります。

米利上げに試練、新年ブラックマンデー(豊島逸夫の手帖)
北朝鮮水爆、深夜のNY市場も揺らす(同上)

これではしばらくマーケットも落ち着きそうにありません。なにしろ地政学リスクに起因する混乱ですから、プロ・アマ問わず投資家がどうこうできる問題ではないからです。そう考えると、以前に澤上篤人さんがあるセミナーで「欧米の本物のお金持ちは、何をいちばん恐れ、それに対して資産を守ろうとしているのか? 第一にそれは『戦争』だ」と言っていた意味が分かります。それほど地政学リスクというのは怖いものなのです。実際に自分が暮らす国で戦争が起これば、投資もなにもあったものではないですから。

だから、投資家は平和を愛する。投資は健全な経済活動を前提にした営みだから、世界の人々が平和に暮らしてこそ成り立つものですし、意味あるものだからです。もし戦争を望むような投資家がいれば、それは戦争によって利益を得る特殊なグループの人たちです。本当の投資家とはまた別の存在でしょう。

地政学リスクが顕在化したことで、現在のマーケットの混乱はしばらく続いてもおかしくありません。こういった場合、個人投資家はどう振る舞うべきでしょうか。私は、こればっかりはどうしようもないと諦めています。嵐が過ぎるのを願って、じっと動かずにやり過ごすしかありません。マーケットのボラティリティが高まると、チャンスとばかりに市場に参入する個人投資家もいるのですが、個人的にはあまりお薦めしません。事態が好転するかどうか全く予想不可能だかです。それほど地政学リスクというのは怖いものなのです。せいぜい積立投資を継続するぐらいにして、新規でスポット投資するようなことは控えたい。

それよりも、こんなときこそ足元をしっかりと固めることに専念するべきです。具体的には、自分の投資スタイルがリスク許容度の範囲に収まっているのかを再確認すること。私は常々強調しているのですが、投資なんか無理をしてまでやるものではありません。少しでも心理的に負担を感じるなら、それはリスク許容度を超えていると判断して投資スタイルを見直すべきです。われわれ庶民にとっては、安心して日々の生活を送ることが一番大事なのですから。

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