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2016年1月9日

相場が不安定な時こそ「動かざること山の如し」が上策



年明けから大変な相場展開になってきました。1月8日も東証は日経平均、TOPIXともに下げて大発会から5日連続の下落です。なんでも年始から5日続落というのは、戦後初めてのことだとか。海外に目を向けても、いずれも冴えません。ちょっとした世界同時株安になっているのですが、今回もその震源地は中国のようです。上海市場の混乱もそうですが、気になるのが人民元レートの動き。中国当局もやや後手に回っている感じがあり、それが市場のセンチメントを一段と悪化させています。これだけ市場のセンチメントが悪化すると、意外と相場の不安定化は長引くかもしれません。個人投資家の多くも、すでに連日の下げで大きな打撃を受けていることでしょう。ただ、基本的に相場というのは、こういったものです。上がる時もあれば下がる時もある。先行きが見えない時だからこそ、動きすぎるとかえって墓穴を掘ります。世の中には「無策の策」というものがありますから、相場が不安定な時こそ「動かざること山の如し」というのがもっとも上策のように思います。

大幅な下落が続くと、ついつい不安になるのは人情というものです。こういったときに大切なのは、改めて自分の投資戦略を再確認し、それに基づいて行動することです。例えば、短期トレードによるタイミング投資をしている人なら、いまがチャンスとばかりに空売りを仕掛けたり、あるいは「休むも相場」と言って一時的に資金を引き揚げるのも一つの判断でしょう。一方、長期投資の戦略を採用している人なら、ここはジッと我慢するところ。これは、どちらが正しいという問題ではありません。それぞれの投資戦略によって対応策が異なるだけです。

ところが個人投資家が陥りがちな失敗は、自分の投資戦略を貫徹できないことです。短期売買をしていた人が含み損を抱えると急に「長期で考える」などと言って損切りできなくなったり、あるいは長期投資を謳っていた人が「一時撤退」などといって資金を引き揚げてしまう。これでは戦略が首尾一貫しませんから、結果が出ないのは当たり前です。もちろん長い投資期間の間には、投資戦略を変更することもあるでしょう。しかしその場合、ポートフォリオの中身をそれぞれの戦略に応じた形に変えなければなりませんから、そんな急にできるものではありません。ましてや市場環境が悪化しているときにバタバタ動いては、うまくいくわけがない。

さて、インデックス投資は基本的に買い持ち戦略による長期投資の手法ですから、現在のような不安定な相場に直面しても、ジッと我慢するしかない。また、積立投資を行っているならなおさらです。そもそもドルコスト平均法による積立投資とは、相場の下落があることを前提にした投資手法です。もし相場に下落がないなら、積立ではなく一括投資した方がはるかにリターンは高くなるでしょう。その意味では、現在のような下落相場こそが積立投資の真価を発揮する場面。だから、ここで一時的にでも積立を止めてしまうと、やはり投資戦略の一貫性が失われてしまいます。

発想を変えると、相場の下落も悪くありません。というのも、投資で一番怖いのが高値掴みだからです。一括投資の場合、まちがって高値掴みしてしまうと、ときに回復不可能な打撃を受けることがあります。ところが積立投資の場合、下落相場に直面して含み損を抱えていても、積み立てを継続することで平均買付価格は低下していきます。それは高値掴みの危険性を少しずつ減らしていると解釈できます。

「でも株価が回復しなかったらいつまでも含み損のままじゃないか」という反論もあるでしょう。確かに株価がどうなるかは予測できません。しかし、理論的に考えて世界経済は長期的には成長するはずです。なぜなら私たちは資本主義社会に住んでいるから。そのことは以前にもブログで書きました。

インデックス投資はギャンブルか-「投資」を「投機」から分かつために必要な合理的理論とは

そんなわけで、いまのように相場が不安定な時こそ「動かざること山の如し」の精神で積立投資を継続していきたいと思います。

※カン・チュンドさんが面白いエントリーを挙げています。これも非常に参考になります。

2016年初頭の急落で、あなたがやってはいけない3つのこと(カン・チュンドのインデックス投資のゴマはこう開け!)

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