2015年11月19日

ニッセイAMの信託報酬引き下げでインデックスファンドの低コスト競争は新たな次元に突入-どうする?SMTとeMAXIS



海外出張している間に、日本ではインデックスファンドの低コスト競争が新たな段階に入ったと思わせる出来事がありました。ニッセイアセットマネジメントが<購入・換金手数料なし>シリーズの3ファンド(国内債券、外国債券、外国株式)の信託報酬を11月21日から引き下げると発表しました。

<購入・換金手数料なし>3ファンドの信託報酬率引下げについて(ニッセイアセットマネジメント)

すでに多くの投資ブロガーさんが取り上げていいるので、いまさら紹介するのは完全に出遅れなのですが、それでも信託報酬(税抜)が国内債券0.15%、外国債券0.2%、外国株式0.24%というのはスゴイ。確定拠出年金(DC)専用ファンド並の低コストです。発表当初はTwitterなどで一種の“祭り”状態になっていて、遠く離れたイタリア・ミラノからもその衝撃はよくわかりました。いよいよ日本でも本当の意味で金融機関が競争する時代に入ったと思わせるのに十分な出来事です。そして問題は今後、他の運用会社がどう動くか。とくに気になるのは低コストインデックスファンドの分野で業界をリードしてきた三井住友トラスト・アセットマネジメントの「SMT」シリーズと、三菱UFJ国際投信の「eMAXIS」です。ここで動けないようでは、恐らくインデックス投資家からの信頼を一挙に失う可能性すらあると感じてしまいます。

今回のニッセイAMの信託報酬引き下げは、すでに日経新聞で動きが報じられていました。その記事を執筆した田村正之編集委員が、11月18日付朝刊で分かりやすいワイド記事を執筆しています。

投信のコスト革命本格化 若い世代取り込み狙う(「日本経済新聞」電子版)

田村氏が指摘するように、今回のニッセイAMによる信託報酬引き下げは、あきらかに三井住友AMがDC専用ファンドの一般販売開放で低コストインデックスファンドの分野に参入してきたことへの対抗策です(その辺の時系列も含めてまとめた一覧表が非常に分かりやすいので引用しておきます)。


(「日本経済新聞」2015年11月18日付朝刊から引用)

さらに驚くことに、ニッセイAMと三井住友AMだけでなく、新たにDIAMアセットマネジメントまで超低コストインデックスファンドを年内にローンチする予定だとか。DIAMはこれまでインデックス投資家の間でもほとんど話題になることのなかった運用会社ですから、思わぬ伏兵の登場です。なぜここにきて急速にインデックスファンドの低コスト競争が加速したのかということに対して、田村氏は端的に次のように指摘しています。

いずれ投信の中心的な顧客になる、コストに敏感な若い世代を取り込むのが狙い。より低コストでの資産分散ができるようになり長寿時代の老後資金作りに役立ちそうだ。

従来、投資信託の多くは中高年から高齢者を対象に販売額を延ばしてきました。言い方は悪いですが、老人から多額の購入手数料と信託報酬をとるような焼き畑農業を続けてきたのです。結果、日本の投資信託業界は、それこそ“ペンペン草も生えない”ような劣悪な業界となり、少しマネーリテラシーのある人からすれば「投信はボッタクリ」「儲けるのは金融機関だけ」とさえ言われてきたわけです。ところが最近ではインターネットの普及で、若い個人投資家が自主的に情報交換をして、良心的な低コストファンドを口コミ的に普及させてきた。私自身もインデックス投資の世界に入ったきっかけは、そういった同世代の個人投資家のブログなどからでした。そしていよいよ金融機関も従来の焼き畑農業的な投信販売に限界を感じるようになったのでしょう。

今回のニッセイAMによる信託報酬引き下げ、そして予定される三井住友AMの低コストファンド追加、さらにDIAMの参入といった動きによって、インデックスファンドの低コスト競争は新たな次元に入ったといえます。今後、コスト競争のベースは、国内債券なら0.1%台、国内株式と先進国債券・株式は0.2%台となるような気がします。まさに新たな次元です。

ところで、こうなってくると気になるのがこれまで低コストインデックスファンドの分野をリードしてきた三井住友トラストAMの「SMT」シリーズと、三菱UFJ国際投信の「eMAXIS」です。私自身も積立の主力商品として愛用してきました。しかし、ここにきて完全にコスト面での競争力を失いました。いずれも信託報酬水準は国内債券0.3~0.4%台、先進国株式0.5~0.6%台ですから、あまりにも差が大きくなってしまった。これほど信託報酬に差があると、まるで話になりません。今後、SMTやeMAXISからニッセイAMの<購入・換金手数料なし>シリーズやSMAMのDC専用ファンドに乗り換える積立投資家が激増しても不思議ではありません。かくいう私も、SMTとeMAXISから<購入・換金手数料なし>シリーズに積立対象商品を変更することを真剣に検討しています。こういった人は、多いのではないでしょうか。

純資産総額や販売チャネルの面では、まだまだSMTとeMAXISは優位に立っています。しかし、なんといってもインデックスファンドの最大の利点はコストの低さ。ここで勝負できないようでは、話にならないのです。そういった意味で、今後は先行2社も、ぜひとも低コスト競争に積極的に撃って出て欲しいと思います。
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