マルクスの『資本論』は、現在でも資本主義のメカニズムを本質的に解明した極めて重要な本です。そこで指摘されているのが、資本の自己増殖という仕組み。それは、有名な次のような式で表されています。
G(貨幣)―W(商品)―G’(貨幣)
これは、企業がある商品を仕入れ、仕入れ値よりも高い値段で売る仕組みです。「´」が剰余価値となります。この剰余価値を生み出す生産過程で、原材料のほか労働者から買った労働力商品が使われているのですが、労働者に支払われる賃金には「´」の部分、すなわち剰余価値が十分に含まれていません。だから、企業が儲かるほどに、労働者の賃金は増えない。
通常、売り上げから原料代・生産コストを差し引いた粗利益は、労働者、株主、企業の3者で分配されます。つまり、労働者には賃金、株主には配当が支払われ、残りを企業が利益剰余分として積み上げていく。普通に労働者として働いていると、分配にあずかれるのは、賃金の部分だけ。しかし、これは労働者が提供した労働力商品の対価ですから、基本的には等価交換されたものと考えるべきです。すると、企業が生み出した剰余価値はどこに行ったのか。それこそ配当と利益剰余分に化けています。
では、労働者が企業から剰余価値を回収する方法は何なのか。ひとつは労働運動によって労働分配率を高めていくことであり、これは非常に重要なことです。そして、もうひとつが株式投資による剰余価値の回収だと私は強調したい。
労働者が株式投資するということは、剰余価値を資本から取り返す行為です。まず、配当という形で剰余価値の一部を回収する。残りの利益剰余分は設備投資や内部留保などの形で企業の中に蓄積されていきますが、株式を保有するということは、その企業の資産を間接的に保有するということですから、これも投資家のものになる。その増加は長期的には株価の上昇という形で反映されるでしょう。こう考えると、労働者が株式を保有するということは、たとえ部分的にでも剰余価値の分配のすべての局面に参加することを意味しているのです。
だから、公開された株式会社というのは労働者階級にとって極めて大切なものです。実際、マルクスも株式会社の意義を強く認識し、『資本論』の中で次のような言葉を記しています。
“株式会社は未来社会への通過点である。”
“株式会社は詐欺師と預言者の顔をもつ”
“株式会社は詐欺師と預言者の顔をもつ”
私が労働者階級に属していながら、なぜ株式投資をするのか。それは、ある意味で「マルクス主義投資家」として、株式会社の「未来社会への通過点」「預言者の顔」としての可能性に賭けているからなのです。