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2025年4月23日

方向感を失う―「iTrust世界株式」の2025年3月の運用成績

 

サテライトポートフォリオで少しだけ保有しているピクテ・ジャパンの低コストアクティブファンド「iTrust世界株式」の2025年3月次運用報告書の定例ウオッチです。「iTrust世界株式」の2025年3月の騰落率は-4.7%、参考指数であるMSCIワールド・インデックス(ネット配当込み)の騰落率は-3.43%でした。残念ながら前月に続いて参考指数をアンダーパフォームしています。4月の暴落前の段階ですが、既に相場は方向感を失いつつあるというのがピクテの見方でした。

3月は米国のトランプ大統領による関税引き上げ政策によってスタグフレーションが起こるとの懸念から株価は軟調に推移しました。一時は買戻しの動きもありましたが、下旬に自動車への25%の関税が発表されたことで、株式市場が再び大きく下げています。業種別では、公益事業、エネルギーが上昇した一方、情報技術、一般消費財・サービス、コミュニケーション・サービスなどが相対的に大きく下落しました。

3月末段階の情報を基にしたピクテの分析が「iTrust」シリーズの受益者に配信される機関投資家向けレポート「Barometer」4月号に紹介されているのですが、そこで「金融市場は方向感を見失う可能性があります」と指摘していました。米国の関税引き上げによって一部の先進国ではスタグフレーションに陥る危険性があり、株式市場にとって好ましくない状況だからです。

そうした中で比較的好材料となるのが中国の動きだというのがピクテの見方。中国は大規模な景気刺激策を実施しており、景気停滞局面から脱しつつあるとしています。また、中国の景気回復は新興国の経済にとってもポジティブ材料となります。

ただ、現実はピクテの予想を超えて混乱したといえそう。米国が相互関税政策によって中国だけでなく日本や韓国、EU、東南アジア諸国などに対しても大幅な追加関税を発表したことで株式市場は現在、大混乱が続いています。本当に方向感が失われてしまいました。はたして今後、株式市場はどういった方向に向かうのか、もうしばらくは見通しが立たない状況が続きそうです。

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