サテライトポートフォリオで少しだけ保有しているピクテ・ジャパンの低コストアクティブファンド「iTrust世界株式」の2025年2月次運用報告書の定例ウオッチです。「iTrust世界株式」の2025年2月の騰落率は-5.49%、参考指数であるMSCIワールド・インデックス(ネット配当込み)の騰落率は-5.16%でした。前月まで好調な成績が続いていましたが、2月はわずかながら参考指数をアンダーパフォームしています。さて、これまで世界の株式市場は“米国株一強”の趣が続いていましたが、2025年に入って変化の兆しが指摘され始めました。
2月は米国のトランプ政権による関税引き上げ政策に対する警戒感から下落してスタートしました。即時発動を見送ったことなどから一時は反発したのですが、その後は米国の景気指数が悪化したことで下落して終わりました。業種別では、不動産、生活必需品、公益事業などが上昇した一方、一般消費財・サービス、コミュニケーション・サービス、情報技術などが下落しています。
さて、これまで世界の株式市場は“米国株一強”の趣が強く、日本でも空前の米国株投資ブームが続いています。ところが2025年に入ってから、この流れに変調の兆しが。実際に2025年初来の主要株価指数(現地通貨ベース)を見ると、2月末段階で米国株はNYダウ平均が+3.0%、NASDAQ総合は-2.4%に対して、ユーロ・ストック50は+11.6%、英FTSE100は+7.8%、香港ハンセン指数が+14.4%となっています。
こうした動きを見て、ピクテも米国以外の地域の株式に対してポジティブな見方を強めています。「iTrust」シリーズの受益者に配信される機関投資家向けレポート「Barometer」3月号によると、米国の歳出削減の動きは短期的には景気を下押しすることになり、さらに輸入関税の引き上げがインフレ高進を招けば消費を冷え込ませる危険性を指摘します。このため米国経済は徐々に減速に向かう可能性が高まってるわけです。
一方、欧州は製造業を中心に欧州中央銀行による金利引き下げの効果が現れ始めており、中国経済も底打ちから回復に向かいつつあると見ています。このため米国株をニュートラルに引き下げる一方、ユーロ圏株をオーバーウェイトに引き上げました。また、新興国株(中国を除く)オーバーウェイトも維持しました。これまで米国株の一部に資金が集中していたわけですが、ここにきて「資金の再配分」を進める必要性を指摘します。
日本でも“米国株ブーム”が長らく続きましたが、もしかした「米国株にさえ投資していればOK」といった安直な姿勢は見直しを余儀なくされるかも。不確実性が高まる中でこそ、幅広い国・地域に分散する本当の意味での国際分散投資の意義が再評価されるような気がします。