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2024年6月23日

“ソフト・ランディング”から“ノー・ランディング”へ―「iTrust世界株式」の2024年月5の運用成績

 

サテライトポートフォリオで少しだけ保有しているピクテ・ジャパンの低コストアクティブファンド「iTrust世界株式」の2024年5月次運用報告書の定例ウオッチです。「iTrust世界株式」の2024年6月の騰落率は+2.67%、参考指数であるMSCIワールド・インデックス(ネット配当込み)の騰落率は+2.32%でした。久しぶりに参考指数をアウトパフォームしています。あいかわらず堅調な相場が続いています。これまで比較的慎重な見通しを続けてきたピクテですが、ここにきて強気の姿勢に傾いてきました。どうも市場は予想された“ソフト・ランディング”を通り越して“ノー・ランディング”となるとの見方です。

4月の米雇用調整や米消費者物価指数が予想を下回ったことで早期利下げへの期待が高まり、5月は中旬から上昇基調で推移しました。下旬には再び利下げ期待が後退したことで相場も下げましたが、月を通してみると上昇しています。業種別では、情報技術、公益事業、コミュニケーション・サービスなどが上昇する一方、エネルギーや一般消費財・サービスが下落しました。

さて、ピクテはこれまで米国が2024年のどこかでリセッションに入りし、その他の国も少なからず影響を受けると見ていました。このため株式をアンダーウェイト推奨することが多かったのですが、どうも風向きが変わってきたようです。「iTrust」シリーズの受益者に配信される機関投資家向けレポート「Barometer」6月号によると、一時的に小幅の景気減速が起こるとしても、米国経済は引き続き堅調に推移するという見方に変化しています。

結局、深刻なリセッションが始まる前にインフレがピークアウトし、金融政策が再び緩和の報告に向かうことで株式市場の環境も好転する構図です。このため株式をオーバーウェイト推奨しています。とくに米国以外の先進国、とりわけユーロ圏とスイス、そして日本が有望だとか。

ユーロ圏はピクテの景気先行指数が良好であり、スイスは収益力や成長性が高く、財務基盤が健全な「高クオリティ」銘柄への投資を適正なバリュエーション水準で行えるのが強み。そして日本は企業のガバナンス改革の進展や緩和的な金融政策の継続、円安の恩恵などが見込めるというわけです。

はたして本当にピクテが予想するように“ソフト・ランディング”から“ノー・ランディング”となるかどうか。なかなか興味深いものがあるので、引き続き注視していきたいと思います。

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