2023年12月7日

生命保険との付き合い方

 

この時期のサラリーマンが必ず行うのが年末調整。保険料控除の手続きが中心となるため、改めて自分が加入している保険の全体像を把握する機会にもなります。独身時代は生命保険などには加入していなかったのですが、さすがに結婚して子供ができてからは(妻からの要望もあって)生命保険に加入しています。ただ、過剰に生命保険に入るのはあまり賢い選択ではないと考えているので、本当に必要な保障を精査して加入するのが私の生命保険との付き合い方です。

投資や資産形成に熱心な人の中には、ときおり生命保険に対して否定的な発言をする人もいるのですが、単純に全否定するのは浅い考えです。そもそも投資と保険は目的がまったく別なので比較するべきものではありません。問題なのは目的を理解せずに利用することと、必要以上に加入してしまうことです。自分や家族にとって必要な保障を見極めて加入すれば、保険というのは万が一のリスクに備えることのできる素晴らしい仕組みです。そうした観点から生命保険について考える際にいつも参考にしているのが、“ミスター生保”こと出口治朗さんの著書『生命保険との付き合い方』です。


この中で出口さんはいくつも重要なポイントを挙げています。とくに納得したのが、かつて日本では生命保険は「保険金がいくら必要か」を基準に商品を選択していましたが、現代は「保険料をいくら払えるか」を基準に選択すべしという指摘。現在のように所得がなかなか増えない時代においては、高額な保険料支払いは家計を圧迫するだけになるからです。このため月々の保険料支払額は、手取り収入の3~5%までに抑えるべしというのが出口さんの提案です。

こうした考えを参考にして、私が現在加入している生命保険は、こくみん共済(全労災)です。これなら保険料もそれほど高額にはなりませんし、必要最低限の保障をまかなうことができると判断しました。余剰金は割戻金として戻ってもきます。60歳以降の保障額が低くなる点はデメリットと言われますが、そもそも生命保険というのは“不慮の事故や病気によって若くして死んでしまう”というリスクに備えるものですから、高齢になってからの保障が低下するのは当たり前だと考えることができます。

そして、万人に共通してお勧めできる生命保険というものは存在しません。なぜなら、各人・各家庭が抱えているリスクは千差万別であり、それに備えるために必要な保障もそれぞれ異なるからです。そうしたことを考えると、保険を選び、加入するという行為は、自分と自分の家庭のあり様を冷静に見つめ直す行為でもあると言えます。そうやってそれぞれが自分にとってふさわしい“生命保険との付き合い方”を見つけていくことが大切なのでしょう。

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