2023年8月24日

「DCニッセイ外国株式インデックス」が信託報酬引き下げ―2023年8月の個人型確定拠出年金(iDeCo)積立と運用成績

 

SBI証券のプランで拠出している個人型確定拠出年金(iDeCo)の8月の買付(7月拠出分)ので定例報告です。SBIベネフィット・システムズの加入者用サイトにログインして気づいたのですが、積立している「DCニッセイ外国株インデックス」の信託報酬が8月19日から引き下げられました。インデックスファンドで課題となっている“一物二価”問題を解消しようとしているニッセイアセットマネジメントの姿勢が素晴らしい。

SBI証券のiDeCoオリジナルプランで買付けたファンド・商品は以下の通りです(カッコ内は信託報酬)。いつも通りのポートフォリオとなっています。

【個人型確定拠出年金(SBI証券iDeCoオリジナルプラン)】
「三井住友・DCつみたてNISA・日本株式インデックスファンド」(0.16%)
「DCニッセイ外国株式インデックス」(0.09889%)
「EXE-i新興国株式ファンド」(0.23%+投資対象ETF信託報酬0.1085%程度)
「EXE-iグローバル中小型株式ファンド」(0.23%+投資対象ETF信託報酬0.058%程度)
「野村外国債券インデックスファンド(確定拠出年金向け)」(0.14%)
「三菱UFJ DC新興国債券インデックスファンド」(0.34%)
「三井住友・DC外国リートインデックスファンド」(0.27%以内)
「あおぞらDC定期」

累積損益率は8月22日段階で+49.3%となり、引き続き過去最高水準を維持しています。それよりも注目は「DCニッセイ外国株式インデックス」の信託報酬です。これまで0.1023%(税抜 0.093%)だったのですが、8月19日から0.09889%(税抜 0.0899%)に引き下げられています。これはニッセイAMの超低コストインデックスファンドである「<購入・換金手数料なし>ニッセイ外国株式インデックスファンド」の信託報酬0.09889%(税抜0.0899%)と同じに。両ファンドはマザーファンドを同じくする実質同一ファンドなのですが、これまで信託報酬が微妙に異なっていました。この“一物二価問題”をニッセイAMは完全に解消したわけです。

ニッセイAMは今年2月にも「DCニッセイ外国株式インデックス」の信託報酬を引き下げ、やはり「<購入・換金手数料なし>ニッセイ外国株式インデックスファンド」と揃えていました。その後、6月に「<購入・換金手数料なし>ニッセイ外国株式インデックスファンド」の信託報酬が引き下げられたことから、再び「DCニッセイ外国株式インデックス」の信託報酬も引き下げ、一物二価問題を解消したわけです。

ここにきてインデックスファンドの低コスト競争が再び激しくなっていますが、新規設定も含めた特定のファンドだけでが信託報酬を引き下げる状態が続いており、それと実質的に同一のファンドの信託報酬が割高な状態で放置されるという問題が依然として続いています。特定ファンドの信託報酬が大きく低下すればするほど、実質的同一ファンドである既存インデックスファンドとの信託報酬の差は拡大しているわけですから、一物二価問題は深刻さを増しているとさえ言えます。

そうした中、ニッセイAMはこの一物二価問題の解消を積極的に進めているわけで、それは大いに評価すべきでしょう。ある意味、特定ファンドの信託報酬を引き下げて、信託報酬のカテゴリー最安値を更新することよりも、受益者への忠実義務(フィデューシャリーデューティー)という意味では価値が上かもしれません。なぜなら、実質的同一ファンドの既存の受益者の利益をも尊重することになり、その恩恵にあずかる総数が大きくなるからです。だからこそ、実質的同一ファンドの信託報酬を最低水準のラインで統一するという正しい方法で一物二価問題を解消しようとしているニッセイAMの姿勢は、どれだけ高く評価してもし過ぎることはないと思います。

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【ご参考】
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iDeCoは制度がやや複雑なので加入を検討する場合は解説書を読んで研究することもお勧めします。大江英樹さんの『はじめての確定拠出年金投資』山崎元さんの『確定拠出年金の教科書』『シンプルにわかる確定拠出年金』田村正之さんの『はじめての確定拠出年金』などが優れた解説書ですが、最新の制度改正にも対応した入門書として竹川美奈子さんの『[改訂新版]一番やさしい! 一番くわしい! 個人型確定拠出年金iDeCo(イデコ)活用入門』と大江加代さんの『最強の老後資産づくり iDeCoのトリセツ 2022年施行 法改正完全対応版』を挙げておきます。

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