2022年8月13日

GPIFって、なに?―公的年金制度と年金積立金運用を分かりやすく動画で解説


このブログでは年金積立金管理運用独立行政法人(GPIF)の運用状況を定例ウオッチして紹介しています。なぜそんなことをしているのかというと、公的年金積立金運用に対して世間一般の認識が、あまりに実態と乖離していると感じることが多いからです。この問題はGPIFも認識しているようで、正しい認識を持ってもらうために積極的に情報を発信しています。その一つがYouTubeの公式チャンネルでの動画配信。これがなかなかよくできていて、とくに「GPIFって、なに?」は、公的年金制度と年金積立運用を分かりやすく解説してくれています。

GPIFに対する無理解というのは、例えば短期的な運用成績がマイナスになれば一部のマスコミが大々的に報道し、それがGPIFへの批判を惹起する一方、プラスとなったときはしっれとスルーされるといった状況が少なからずあるの典型的でしょう。ネットニュースへのコメントなどは、とくに酷いものが多々あります。

そういう無理解を解消するためにGPIFが配信している動画解説ですが、これがなかなかよくできています。日本の公的年金制の概要から、年金積立金運用の仕組みまで分かりやすく仮設しています。とくに重要なのが、GPIFの運用というのは現在の年金受給者や社会保険料を負担している現役世代のための運用ではないということでしょう。

動画の中で示されるように50年後、100年後の現役世代の保険料負担が過大にならないように、そしてその時の受給者への給付をできる限り維持するために運用されているわけです。GPIFの資金というのは、現役世代から見れば子供や孫など“未来の世代”のために運用しているということです。

さらに運用の方法論についても、長期運用と国際分散投資という王道の戦略を実践していることが丁寧に説明されています。これは年金運用としては極めてオーソドックスなもの。いまだに日本では年金積立金を株式で運用することを批判する人がいますが、株式運用を採用しない年金基金など世界的にほとんど存在しません。

こうした丁寧な情報発信を続けていることもGPIFの健全さの表れでしょう。日本の公的年金制度には依然として様々な課題があることは事実ですが(これは日本に限らず、世界各国の年金制度がそれぞれに課題を持っています)、少なくとも積立金の運用に関しては健全だということです。だから、ぜひ多くの人にGPIFの発信する動画を見てもらいたいと思います。

ちなみに余談ですが、YouTubeのGPIF公式ちゃんねんるには、PR動画も用意されています。これがなかなかカッコいい。これを見ると、ぜひGPIFに資金を任せたいと思う投資家が出てきそうです。


【ご参考】
日本の公的年金制度についてきちんと勉強するなら、権丈善一先生の『ちょっと気になる社会保障』が最良の基本図書です。現在は三訂版『ちょっと気になる社会保障 V3』が出ています。また、簡便にして的確な入門書としては、大江英樹さんの『知らないと損する年金の真実 - 2022年「新年金制度」対応』もお勧めです。

 

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