2022年3月2日

MSCIがロシアを指数から除外か―インデックス投資家も経済制裁の参加者である

 

ロイターによると、株価インデックス算出会社であるMSCIが指数からロシア企業を除外することを検討しているそうです。


ウクライナを侵略したロシアへの経済制裁の影響です。これは当然の判断でしょう。インデックス投資家の多くも指数からロシアを除外することに賛同するのでは。

現在、ロシアは経済制裁のひとつとして国際決済ネットワークから切断されており、制裁参加国からロシアへの送金も、ロシアからの入金も停止している状態です。このためロイターの記事にもあるように「ロシア株式市場は投資不可能」に。そうなると、指数に含める意味がありません。

ちなみにMSCIのインデックスにおけるロシアの比率は、比較的ウエートが大きいMSCIエマージング・マーケッツで1月末段階で3%弱。現在はさらに株価が暴落しているの、ウエートはもっと小さくなっているでしょう。これが指数から除外されれば、いわば損切りする形になるのでインデックス投資家もある程度の損失を被ることになります。

ただ、これは仕方がないことです。そもそもインデックス投資に代表される国際分散投資とは、自由で開かれた資本市場を前提とします。そして、自由で開かれた資本市場を支えるのが国際協調体制と民主主義です。今回、ロシアはそれを犯したため経済制裁という形で自由で開かれた資本市場から排除されました。それは、国際協調体制と民主主義を守るための当然の対応策です。

つまり、投資家もまた、いやおうなく経済制裁の参加者になるのです。そして、それによって被る損失は、自由で開かれた資本市場、国際協調体制と民主主義を守るために負担しなければならない当然のコストなのです。

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