2022年2月15日

給料は減り、配当は増える―2021年の確定申告を準備する

 

先日の3連休を利用して2021年の確定申告の書類を作成しました。昨年は妻が妊娠・出産し、その通院や入院などでかなり医療費を使っているので、医療費控除で少しばかりの還付があります。ただ、書類を作成して改めて感じたのは、現在の日本人が置かれている経済環境の問題です。それは、給与収入は増えず、場合によっては減っているにもかかわらず、配当収入は増えているという現実です。

私は少しですが米国株を保有しているので外国税控除を受けるために確定申告を毎年しています。加えて今年は子供が生まれたので、出産のため妻の通院・入院でかなりの医療費を使いました。そこで医療費控除を申告したわけです。おかげで少しばかりですが今年も還付があります。

これはいつも主張していることですが、サラリーマンといえども確定申告はするべきです。還付の有無だけでなく、なによりマネーリテラシーを高めるための最良の実地訓練だからです。とにかく日本のサラリーマンは源泉徴収で納税しているため、どうしても税務知識が貧困になりがち。だからこそ確定申告を通じて、「収入」「所得」「控除」といった概念を理解するだけで大きな進歩。なにより健全な納税意識を持つことで、自立した市民となる第一歩となるのです。

もうひとつ、確定申告をすると現在の日本人が置かれている経済のあり方についての厳しい現実を可視化することにもなります。それは、給与収入は増えないのに、配当収入は増えているという現実です。私の場合も2021年は給与収入が微減。しかし配当収入は大幅に増え、結果的に総収入は前年を上回りました。また、収入だけでなく資産額も保有する株式や投資信託の値上がりによって大幅に増えています。

これこそが現在の日本で起こっている「格差拡大」の正体です。つまり、投資をしている人の収入や資産が増える一方で、給与収入だけに頼っている人の資産はあまり増えない。また、税務知識のある人は確定申告も含めて様々な税務戦略を駆使することで所得控除による還付を受けたり、課税繰り延べができる一方、税務知識がないサラリーマンは源泉徴収によって税金を言われるままに支払うだけになる。

こういう状況が良いことなのか悪いことなのかは難しい問題です。ただ、学ぶことをせずになんの対策も講じないというのは怠惰ではないでしょうか。少なくとも自立した市民の態度ではないと思う。「権利の上に眠る者は保護に値せず」、そして「法の不知はこれを許さず」という法諺があります。これは資産形成や税務処理にも当てはまるでしょう。そういう自立した市民としての意識を持った上で、現在の経済のあり方の是非を論じるようになれば、不毛な対立も減るのでは。そのきっかけとして、やはり“確定申告のススメ”を唱えたいと思います。

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