2021年10月27日

「新しい資本主義実現会議」で個人投資家の長期積立投資について言及される

 

岸田文雄首相の肝煎りで立ち上げられた「新しい資本主義実現会議」の第1回会合がこのほど開催されました。有識者としてコモンズ投信の渋澤健会長が参加していることに注目しているのですが、さっそく効果があったようです。論点整理のために有識者から資料が提出されましたが、渋澤さんが個人投資家や若者・若年層による長期積立投資について言及してくれています。

新聞報道で知ったのですが、もともと岸田首相が「新しい資本主義」をスローガンとして掲げるようになったのは、自民党宏池会(岸田派)の勉強会に招かれた渋澤健さんが、渋沢栄一の「道徳経済合一説」を紹介したことがきっかけだったそうです。なるほど、だから渋澤健さんが有識者として会議のメンバーに選ばれたわけですか。


その新しい資本主義実現会議ですが、第1回目の会合では論点整理のために有識者からの参考資料が提出されています。注目したのが渋澤健さんの提出資料です。


やはり渋沢栄一が提唱した「合本主義」や「論語と算盤」(道徳経済合一説)をベースにしながら「「成長」から「分配」、「分配」が更なる「成長」へつながる好循環」を提唱しているのですが、「新しい資本主義が実現すべき具体例(案)」として次の内容をトップに持ってきました。
投資は「富裕層」の特権ではない。
GPIF 全国民の年金積立金の運用には「成長」が必要
一般個人の長期的積み立て投資:若者・若年層「つみたて NISA」の恒久化
これこそ、まさに渋澤さんに会議で言及して欲しかった内容です。とくに「投資は『富裕層』の特権ではない」という指摘の意味を会議のメンバーにはよく考えて欲しいものです。分厚い中間層を再構築するためには、賃金・所得の引き上げに加えて、それをいかに「資産形成」へとつなげていくかが重要になるはずだからです。

おそらく岸田首相も含めて永田町では現在の若者・若年層にとって「投資」や「資産形成」がどういった意味を持っているのかという認識が共有されていません。だからこそ、渋澤さんが新しい資本主義実現会議のメンバーに入ったことで、ぜひとも政府首脳には認識を改めて欲しいと思います。そういった点も含めて、今後の会議の行方を注意深く見守っていきたいと思います。

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