サテライトポートフォリオで少しだけ積立投資しているピクテ投信投資顧問の低コストアクティブファンド「iTrust世界株式」の2021年8月次運用報告が出たので定例ウオッチです。「iTrust世界株式」の8月の騰落率は+1.98%、参考指数であるMSCIワールド・インデックス(ネット配当込み)の騰落率は+2.36%でした。8月も参考指数をアンダーパフォームするなどいまひとつ冴えません。いろいろと計算違いな出来事も多く、とくに日本株の評価に関しては、ちょっとまずい展開になりそう。結果的に菅義偉首相にしてやられることになるかもしれません。
8月は米国の企業決算の良好さや雇用統計の改善が好感されて株価も上昇基調で始まりました。懸念されたインフレ加速も一過性との見方が広がり、相場は総じて堅調に推移したと言えそうです。業種別では、情報技術、金融、コミュニケーション・サービスなどが大きく上昇したが大一方、エネルギー、一般消費財・サービス、素材などは下落しました。
さて、「iTrust」シリーズの受益者に配信する機関投資家向けレポート「Barometer」9月号を読んでいると、ちょっと気になる記述がありました。地域別・セクター別の見通しとして日本株をアンダーウエート判断としていることです。新型コロナウイルス感染の拡大や中国経済停滞の影響を懸念しての判断です。ところが現在、この予想は大きく外れています。9月に入ってから日本株は急上昇し、日経平均株価とTOPIXともに最高値を更新しました。
なぜこんなことになってしまったのか。それは9月3日に菅義偉首相が突然に自民党総裁選への不出馬を発表し、事実上の退陣が決まったからです。これにより今後の経済政策は次期政権が担うことになり、それまでの分析の前提がすべて狂ってしまいました。結果的に菅義偉首相にしてやられたわけで、まさにマーケット分析における政治リスクの不確実性というものを改めて浮き彫りにしました。
相場には政治リスクはつきものですが、これはなかなか対処が難しいものです。これまでもBrexitやトランプ大統領誕生といった予想外の出来事があり、そのたびに投資家は振り回されてきました。結局、マーケット分析において政治リスクは予想不可能と割り切って、市場に相対するしかないわけです。
ちなみに、「iTrust世界株式」の8月末段階でのポートフォリオを見ると、日本株のウエートは4.8%。これは、やはり参考指数のMSCIワールド・インデックスよりアンダーウエートとなっています。なんだかんだ言っても日本はMSCIワールド・インデックスの中で米国に次ぐ2位のウエートを占める国なので、そこが急騰すると急激に「持たざるリスク」が顕在化します。ピクテに限らず、日本株を「持たざるリスク」に直面している機関投資家は多いのでしょう。そうなると慌てて買いに動く。最近の日本株の好調の裏には、そういった事情もありそうです。
【ご参考】
ピクテ投信投資顧問の「iTrust」シリーズはネット証券を含む販売会社で購入できるほか、「iTrust世界株式」と「iTrust日本株式」は楽天証券やカブドットコム証券のiDeCo(個人型確定拠出年金)プランにもラインアップされています。⇒楽天証券確定拠出年金プラン 、auカブコム証券確定拠出年金プラン
ピクテ投信投資顧問の「iTrust」シリーズはネット証券を含む販売会社で購入できるほか、「iTrust世界株式」と「iTrust日本株式」は楽天証券やカブドットコム証券のiDeCo(個人型確定拠出年金)プランにもラインアップされています。⇒楽天証券確定拠出年金プラン