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2021年8月21日

中国への投資に迷いか―「iTrust世界株式」の2021年7月の運用成績

 

サテライトポートフォリオで少しだけ積立投資しているピクテ投信投資顧問の低コストアクティブファンド「iTrust世界株式」の2021年7月次運用報告が出たので定例ウオッチです。「iTrust世界株式」の7月の騰落率は+1.10%、参考指数であるMSCIワールド・インデックス(ネット配当込み)の騰落率は+1.22%でした。前月に続いて若干ながら参考指数をアンダーパフォームしてしまいました。7月は中国株の大幅な下げなどがあり、市場にはやや不穏な雰囲気が漂っています。ピクテのレポートを読むと、やはり中国への投資に対してやや迷いを感じました。

7月は米国の早期金融引き締めへの懸念が後退したことで月前半は株価も上げ基調にあったのですが、新型コロナウイルスのデルタ株による感染拡大が世界的に広がる懸念から大きく下げる局面もありました。業種別では情報技術、公益、ヘルスケアなどが大きく上昇しましたが、エネルギーは下落しました。金融や生活必需品も市場平均を下回る上昇にとどまっています。

7月の株式市場の最大の波乱要素は中国でした。突如として民間教育企業に対する規制を強化したことで、中国企業の事業活動に対する政治リスクが顕在化したと言えるでしょう。このため中国株は大きく下げる傾向が続いています。

こうした状況に対してピクテは「iTrust」シリーズの受益者に配信する機関投資家向けレポート「Barometer」8月号で「中国投資の全面回避は無用」と指摘しています。中国の規制強化は株式や債券に恒常的な「リスク・プレミアム」を及ぼすとしても、「中国経済の成長モデルや同国の金融資産に対する幅広い投資家層からの投資フローを根本的に変えることはない」という判断です。

ところが一方で「これまで以上に慎重な姿勢で投資に臨むことは理に適っていると思われます。従って、年初来、堅調に推移してきた中国債券を一部売却し、利益を確定しました」と正直に書いているところで、うーんとなる。さすがのピクテも、その口ぶりにどうも迷いが感じられます。やはり今後、中国への投資をどうするのかは国際分散投資において大きな悩みの種になるような気がします。

【ご参考】
ピクテ投信投資顧問の「iTrust」シリーズはネット証券を含む販売会社で購入できるほか、「iTrust世界株式」と「iTrust日本株式」は楽天証券やカブドットコム証券のiDeCo(個人型確定拠出年金)プランにもラインアップされています。⇒楽天証券確定拠出年金プランauカブコム証券確定拠出年金プラン

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