2021年8月5日

ワクチンを接種できる国に生まれた幸運

 

新型コロナウイルスのワクチン2回目接種を終えました。これで一応、接種は完了です。もちろん十分に抗体ができるまでに2週間かかりますから、もうしばらくは感染対策に気を使いながらの生活が続きます。ワクチン接種で重症化リスクが大幅に低下することが期待できるわけですから、やはり安心感が違う。感染力の強いデルタ株が広がっているのでなおさらです。それにしても改めて思うのは、こうしてワクチンを接種できる国に生まれた幸運です。

今回も1回目と同様に大阪市の大規模接種センター(インテックス大阪)で接種してきました。モデルナのワクチンも2回目の方が副反応が大きいと言われていていますが、接種後10時間以上経過したところでとくに問題は発生していません。1回目同様、接種部分に筋肉痛に似た鈍痛があり、少し体がほてってきましたが(検温したら37.7℃でした)、しんどい感じはありません。この調子で接種翌日も過ごしたいものです。

それにしても日本のワクチン接種のスピードは目を見張るものがあります。医療機関や大規模接種会場のほか、職域接種も進められており、8月4日段階で日本全体のワクチン接種回数は96,854,171回に達しました(首相官邸発表)。これは世界でも中国、インド、米国、ブラジルに次いで5番目の多さです。

こうした数字を見て改めて感じたのは、ワクチンを接種できる国に生まれた幸運です。英オックスフォード大の研究者らが運営するOur World in Dataによると、8月3日段階で世界の全人口のうち、ワクチンを1回以上接種した人の割合は29.1%しかなく、2回接種を完了したした人はわずか14.9%にすぎません。2回接種を完了した私は、世界のわずか15%の1人なのです。そして、いま問題になっているのがワクチン格差です。私のようにワクチンを接種できるのは限られた先進国の国民だけであり、低所得国でワクチンを接種した人は1.1%しかないという悲しい現実があるのです。

こうしたことを考えると、いろいろな問題はあるにしろ、これだけのワクチンを確保した政府の手腕は、必ず歴史において評価されると思う。しかも、いまや全世界で奪い合いになっている高性能なファイザーとモデルナのmRNAタイプのワクチンを全国民分確保し、さらに予備としてやはり優秀な効果を確認しているアストラゼネカのベクターウイルスタイプのワクチンも抑えてるのですから、まさにホームランです。これがどれだけ幸運なことなのかは、もしこれらのワクチン確保しに失敗し、中国製やロシア製のワクチンを接種せざるを得なくなっていたかもしれないということを想像すれば、容易に分かるでしょう。

だから、いまだに「ワクチンが不足している」などと言って文句ばかり言っている人は、国際的な視野が足りないと批判されても仕方ない。海外に目を向けると、タイやインドネシアではワクチン不足に加えてデルタ株の蔓延で重症者や死者が激増しています。事実上の先進国である韓国ですらワクチン確保に失敗したことで非常に苦労しています。こうした現実を前にして、世界第5位の接種回数となっている日本人が「もっと早くワクチンをよこせ」などと言うのは、犯罪的な行為だと思う。

いま日本人がするべきは、まずはワクチンを接種できる国に生まれた幸運に対して感謝の気持ちを忘れずに、感染対策を続けならが粛々と接種を進めることだと思う。そして、日本人への接種をできるだけ早く終わらせた上で、今度はワクチン不足に苦しむ国々を支援するべきでしょう(既に台湾や東南アジア諸国へのワクチン支援は始まっています)。そうした「感謝の心」と「連帯」だけが、新型コロナウイルス禍という大災害を乗り越える道だと思うのです。

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