2021年3月27日

積立投資は精神修養の場である―今月の積立投資(2021年3月特定口座)

 

年度末ということもあり仕事が非常に忙しいです。おかげで最近は投資のことを考える暇もあまりなく、ブログの更新頻度も下がっているのですが、それでも毎月の積立投資は自動的に行われているので、なんとも気楽なものです。おまけに株式相場は相変わらず好調ですから、知らない間に含み益がどんどん増えていく。こうなるとさらに買い進めていいものか不安になる人もいることでしょう。積立投資というのは不思議なもので、含み益になっても不安になる面もあるわけです。でも、そういった不安を乗り越えるところにリターンの源泉があるとも言える。いわば不安を乗り越える精神修養が必要になるわけです。

今月も買付けたファンドはいつも通りです。

【特定口座(SBI証券)】
「ニッセイ日経225インデックスファンド」
(信託報酬:税抜0.25% 信託財産留保額:なし)
「<購入・換金手数料なし>ニッセイ外国株式インデックスファンド」
(信託報酬:税抜0.093% 信託財産留保額:なし)
「eMAXIS Slim新興国株式インデックス」
(信託報酬:税抜0.189% 信託財産留保額:なし)
「Funds-i新興国債券・為替ヘッジ型」
(信託報酬:税抜0.6% 信託財産留保額:0.3%)
「世界経済インデックスファンド」
(信託報酬:税抜0.5% 信託財産留保額:0.1%)
「iTrust世界株式」
(信託報酬:税抜0.89% 信託財産留保額:なし)

相場の好調を受けて、どのファンドも含み益がかなり増えてきました。積立投資というのは、相場が下落している時にはファンドの口数を多く買うことができるののですが、逆に好調だと高値で買い増すことになりますから、だんだんと高値掴みへの不安が高まっている人もいるかもしれません。

積立投資は、相場が「下がって嬉しい。上がっても嬉しい」と言われますが、これを言い換えると「下がっても不安、上がっても不安」となるわけで、なんとも皮肉な投資手法なのです。この問題に対してカン・チュンドさんが面白いブログ記事を書いていました。


あいかわらず実際の相談業務を通じて個人投資家の精神状況を具体的に知っているカンさんらしい内容でした。実際に投資をしている個人は「不安」という非合理な感情に悩まされているわけですから、いくら積立投資の有効性を合理的に説明したところで、それだけでは不十分なのです。そもそも人間は合理性だけで行動する生き物ではないのですから。そこでカンさんは、不安の原因となっている「分からない」を受け入れろと指摘しています。
正直『分からない・・』と言うのには勇気がいります。
しかし『分からない』と悟ることで
人は上がること、下がること、双方にニュートラルになれるものです。
もちろん自身の心持ちを客観化することにもつながるでしょう。
つみたて投資とは、精神修養の場なのです。
積立投資は誰でも実践できる簡単な投資方法であり、特別な技術や才能は必要ありません。しかし、ひとつだけ必要なのが、こういった精神的強靭さなのです。それは一朝一夕には身に付きません。だから少しずつ積立を続ける中で、実戦的に習得していくしかない。それを“精神修養の場”と言ったのは、なかなか言い得て妙です。

こうした境地に至る道筋を、お遍路さんの編み笠に書かれた「本来無東西(ほんらい東西なし)」「何処有南北(いずこにか南北あらん)」に通じると言うあたりも面白い。積立投資というのは、どこかで投資から離脱する認識の持ち様が求められるわけです。しかし、よくよく考えれば、これは積立投資に限らず長期投資全般に言えることでしょう。投資をしながら、「儲けたい」「損したくない」という感情から解放されたときに、本当の意味で投資の意義が「分かる」ということかもしれません。

ふと、道元禅師の「放てば手に充てり」(『正法眼蔵』「弁道話」)という有名な言葉を思い出しました。すべてを捨てたときに、すべてが手に入る。執着を捨てたときに、人は自由になれる。そうした境地に達すれば、素晴らしいことでしょう。もっとも、私はいまだ我執に囚われた凡下なので、修養の道も半ばですが。

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