2021年3月24日

確定申告のススメ―マネーリテラシーを高める最良の実地訓練

 

3月は確定申告の季節ですが、昨年同様に今年も新型コロナウイルス禍への配慮から申告締め切りが4月15日まで延長されました。そうなるとついつい後回しになってしまい、先日ようやく申告書の作成を終えました。今回もいろいろと控除を活用して、いくばくか還付もあるようです。やはりサラリーマンといえども確定申告はするべきでしょう。還付の有無だけでなく、なによりマネーリテラシーを高めるための最良の実地訓練だからです。

私は少しですが米国株を保有しているので外国税控除を受けるためにここ数年は確定申告を必ずしています。また、今年は保有していたNTTドコモの株式がTOBされたことで売却しており、かなりの利益確定になりました。そこで別の証券口座で保有してる含み損の銘柄を売却して損出ししました。これを損益通算するために確定申告が必要なのです。加えて私と妻がそれぞれ定期的に通院しているので、医療費控除も申告する必要があったわけです。

おかげでわずかな金額ですが還付申請できました(医療費控除の計算が非常に大変でしたが)。新型コロナ禍で収入が減少しているだけに、少しでも税金が戻ってくるのはありがたいのです。こうした実利面だけを考えても、サラリーマンといえども確定申告はやるべきだというのが分かります。フィデリティ・インスティチュート退職・投資教育研究所も次のようなコラムを掲載しています。

確定申告のススメ(フィデリティ・インスティチュート退職・投資教育研究所)

2019年分の確定申告でも給与所得者の19.8%の人が確定申告しており、そのうちの71.2%が税金の還付を申請しているそうですから、やはり分かっている人はみんな動いているわけです。そしてなにより“確定申告のススメ”のもう一つの意義は「ビジネスパーソンが金融リテラシーを高める良い方法のひとつになるはず」という指摘にもまったく同感です。

とにかく日本のサラリーマンは源泉徴収で納税しているため、どうしても税務知識が貧困になりがち。だからこそ確定申告を通じて、いろいろと勉強になるわけです。「収入」「所得」「控除」といった概念を理解しているだけで、初心者は卒業ですから。

なにより健全な“納税意識”を持つようになることが最大の意義でしょう。なぜなら、健全な納税意識を持つことは、自立した市民になるための第一歩だからです。それは民主主義にとって欠かさないものです。政治や経済に対して自立した意見を持つための第一歩が、確定申告という実に些細な、しかし重大な行為から始まると言えるのです。なので、日本人全員に対して「確定申告のススメ」は、とても意味あることなのです。

関連コンテンツ