私が積立投資のコア商品として愛用している「世界経済インデックスファンド」の第12期(2020年1月21日~2021年1月20日)運用報告書が出ました。2020年は“コロナ・ショック”による大暴落があったのですが、終わってみれば上昇相場だったという実に奇妙な1年だったということが「世界経済インデックスファンド」の騰落率にも表れています。
三井住友トラスト・アセットマネジメントの「世界経済インデックスファンド」は、1本で世界の株式と債券に50:50の比率で投資できるバランス型インデックスファンドです。株式と債券はそれぞれ先進国と新興国のGDP比率を参考に配分され、新興国も含めた"世界経済全体の成長"を享受することを狙うコンセプトが非常に面白く、根強いファンがいます。私自身も積立投資のコア商品としてかなりの金額を保有しています。
第12期運用報告書によると、当期の騰落率は+6.1%、分配金は見送りとなりました。国内債券と新興国債券以外の資産カテゴリーはすべて上昇という嬉しい結果です。月別で見ると3~4月に“コロナ・ショック”による大幅下落があったのですが、その後の回復は目覚ましいものがありました。マザーファンドベースのアセットクラスごとの騰落率は以下のようになっています。
国内債券インデックス -0.6%
国内株式インデックス +8.7%
先進国債券インデックス +3.9%
先進国株式インデックス +8.4%
新興国債券インデックス -5.0%
新興国株式インデックス +15.6%
これを観ると2020年は新興国株式が牽引したことが分かります。ちょっと前まではインデックス投資家の間でも“新興国株式不要論”が幅を利かせていたわけですが、その新興国株式をしっかりと組み込んだことが奏功しているのですから面白いものです。また、先進国株式よりも国内株式の方が上昇率が高かったことも注目でしょう。やはり“日本株オワコン論”が幅を利かせる中で、現実はそれほど単純ではないということを思い知らせてくれます。こうしたことを1本のファンドを保有するだけで感じることができるのも「世界経済インデックスファンド」の面白い点です。
期末段階での純資産座高は828億円(前期末は686億円)となり、大幅に増加しています。順調な資金流入が続いていることをうかがわせます。費用明細上の実質コストについても確認しておきます。以下のようになりました。
信託報酬 0.55%
売買委託手数料 0.006%
有価証券取引税 0.005%
その他(保管、監査)費用 0.054%
実質コスト合計 0.615%
前期の実質コストが0.614%でしたから、ほぼ横ばいと言っていいでしょう。最近は低コストなインデックスファンドが増えたことでやや割高感がありますが、類似の資産配分コンセプトのファンドがあまりないことを考えると、比較的低廉なレベルにあるとも言っていいでしょう。
最近は株式と債券の組み合わせによるバランス型インデックスファンドへの注目度はいまひとつですが、やはり債券と株式の組み合わせというのは分散投資における王道です。実際に基準価額の動きも株式100%のファンドより穏やか。ある程度のリスクを抑えながら運用した個人投資家にとっては、引き続き安心して保有できるファンドと言えるでしょう。
あとは、信託報酬が少しでも引き下げられれば、もっと人気が出るでしょう。その点だけは残念です。三井住友トラストAMの看板ファンドになるポテンシャルを秘めたファンドだと思えるだけに、ぜひ信託報酬の引き下げも前向きに検討して欲しいと思います。