2021年1月9日

日本における“インデックスファンドの時代”の幕開け―「eMAXIS」シリーズ合計純資産残高が1兆円を突破


いまや低コストインデックスファンドの代表格となった三菱UFJ国際投信の「eMAXIS」シリーズ。このほど「eMAXIS Slim」も含めたシリーズ合計純資産残高が1兆円を突破しました。


1兆円というのは、やはりひとつの節目となる数字です。日本における“インデックスファンドの時代”の幕開けを告げるよ出来事と言っていいかもしれません。

「つみたてNISA」の登場や個人型確定拠出年金(iDeCo)の加入対象拡大を契機に、いまでこそインデックス投資に関する認知度は徐々に高まっているのですが、それこそ10年ほど前までは極めてマイナーな存在でした。かくいう私もインデックス投資という手法を知ったのはここ10年ほどのことであり、初めてその存在を知ったときには軽い衝撃を受けたものです。

そんな中、2008年に登場したのが「eMAXIS」シリーズでした。私がインデックスファンドを初めて購入したのは2013年ですが、そのひとつがやはり「eMAXIS新興国株式インデックス」だったことを思い出します。ここ10年間の日本におけるインデックスファンドの普及を支えてきた低コストインデックスファンドシリーズのひとつだったわけです。

そして2017年に登場した「eMAXIS Slim」シリーズの登場のエポックメークな出来事でした。当時、やや後発だったニッセイアセットマネジメントの「<購入・換金手数料なし>」シリーズなどが果敢にインデックスファンドの低コスト化を推し進めていたのですが、そこに「eMAXIS Slim」が全面競争を仕掛け、「業界最低水準の運用コストを将来にわたってめざし続ける」というコンセプトを掲げたことは衝撃的でした。

それからのシリーズ拡充の動きには目を見張るものがあります。米国株式や全世界株式などにも投資するファンドを設定し、まさにここ5年ほどは日本におけるインデックスファンドをめぐる動きの中心には、いつも「eMAXIS」シリーズがあったと言っても過言ではないでしょう。

そうした日本におけるインデックスファンドの代表格ともいえる「eMAXIS」が、シリーズ合計とはいえ純資産残高1兆円を突破したというのは、ちょっと感慨深いものがあります。もちろん、単独ファンドとしては、それこそ純資産残高が1兆円を超えるアクティブファンドが過去にもありました。しかし、依然としてマイナーな存在であるインデックスファンドというカテゴリーにおいて、1兆円という数字を突破したことはひとつの節目と言っていいと思う。少しづつだけれども確実にインデックス投資が拡大していることを具体的に示す数字だからです。

いよいよ日本でも“インデックスファンドの時代”の幕開けが本格的に始まっているという印象を受けます。それは、日本における個人投資家のあり方が従来とは根本的に変わるということです。本当の意味での資産形成・運用としてリスク資産への投資が認識されることになるはずです。

「eMAXIS」シリーズにかぎらず、いつの日か単独で純資産残高1兆円を超えるインデックスファンドがいくつも登場するようになったとき、日本も“インデックスファンドの時代”が到来したことを意味するようになるのでしょう。今回の「eMAXIS」シリーズ合計での純資産残高1兆円突破というのは、その第一歩だと思います。

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