2021年1月19日

個人の投資ブログがチラシの裏の落書きでよかった時代は終わった

 


先日発表された「投信ブロガーが選ぶ! Fund of the Year 2020」ですが、最近は上位にランクインした運用会社が入賞を正式にプレスリリースするケースが増えてきました。個人の投信ブロガー有志が手弁当で実施しているイベントですが、その影響力は金融業界も無視できないくらいになっているわけです。そういった流れはますます強まっており、投資初心者の情報源としてブロガー・ユーチューバーの存在も大きくなってきました。そうなると、たとえ個人の投資ブロガーといえどもいい加減な情報を発信するのは非常に問題となります。いまや個人の投資ブログがチラシの裏の落書きでよかった時代は終わったのかもしれません。

フィデリティ・インスティテュート退職・投資教育研究所の「ビジネスパーソン1万人アンケート」によると、若い世代を中心に投資の情報源に変化が生じているそうです。

資産運用初心者が頼るのは―ビジネスパーソン1万人アンケートより(フィデリティ・インスティテュート退職・投資教育研究所)

アンケートによると、情報源としては金融機関のウェブサイトやTVが上位を占めているのですが、ここ数年はSNSが急上昇しており、とくに20~30代でこの傾向が顕著になっています。

さらに資産形成に関して誰の影響を受けたのかという“インフルエンサー”に関する問いも用意されており、やはり「金融機関の担当者」や「ファイナンシャル・プランナー」が上位に挙がるのですが、ここで面白いのが、2020年の設問で初めて「ブロガーまたはユーチューバー」といったSNSを使った情報発信に強みを持つインフルエンサーを選択肢に入れた結果です。なんと6.8%を占めることに。20代の男性、30代の男性でそはれぞれ10.3%と10.0%と高い比率になっています。

この結果に対してフィデリティは「前述の主要なインフルエンサーの比率が2018年以降変わってないのに、2020年に「ブロガーまたはユーチューバー」が6.8%を占めていることです。この増加分は、実は「誰からも影響を受けていない」としていた比率が低下することでもたらされているのです」「「ブロガーまたはユーチューバー」は、これまで資産形成に興味を持っていなかった20代、30代の、特に男性を開拓したといえるかもしれません」と分析しています。

個人ブロガーやユーチューバーも投資初心者にとって大きな影響力を持つようになったと言えるでしょう。だとするならば、個人ブロガー・ユーチューバーもいろいろ考えなければならないかもしれません。それは、情報発信者としての“責任”です。

いわずもがなですが、投資というのはリスクをともなう行動ですから、本来は軽々に他人に勧めたりしてはいけないものです。もし他人に勧めるなら十分にリスクを説明した上で、ある程度は再現性のある手法について紹介すべきでしょう。それが情報発信者としての最低限の責任だと思う。

最近は、いろいろと問題のある内容を発信しているブログやユーチューバーも散見されるようになっただけに、それこそ自戒を込めて、情報発信者の責任というものを強く感じます。個人ブログというのは本来、それこそ個人の感想をちょっとだけ発信して、フォロワーの反応を楽しむものでしたが、こと投資のようなテーマになると、いやおうなしに情報発信者としての責任を負わざるを得なくなってしまったわけで、いまや個人の投資ブログがチラシの裏の落書きでよかった時代は終わったのかもしれません。

だから、個人の投資ブロガーも一段と自覚を持たなければならなくなりました。同時に、投資初心者の皆さんには、ぜひ個人ブログやユーチューバーからだけ情報を得ることは避けて欲しいと思う。やはり信用できる公的機関や金融機関が発信している情報をバカにしないで欲しいのです。

そしてもう一つ、やはり本を読んで欲しい。とくに投資に関する“古典”と呼ばれる本を熟読玩味すべき。じつは、そういった良書を見つけるためにも個人ブログが役に立ちます。多くの個人ブログで共通してい紹介されている書籍は、ほぼ間違いなく“古典”とされる良書たちですから。

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