2020年11月29日

参考指数を圧倒的に上回る驚異的パフォーマンス―ひふみ投信の第12期(2019年10月~20年9月)運用成績

 

サテライトポートフォリオで積立投資している「ひふみ投信」の第12期(2019年10月1日~2020年9月30日)運用報告書が交付されましたので読んでいきたいと思います。第12期の「ひふみ投信」の騰落率は+23.2%、参考指数であるTOPIX(配当込み)は+4.9%でした。分配金は当期も無しです。“コロナ・ショック”による大暴落という波乱含みの1年でしたが、結果として参考指数を圧倒的に上回る驚異的なパフォーマンスを叩き出しました。受益者の1人として、まったくもって脱帽です。恐れ入りました。

運用報告書は今回も期を相場のキャラクターや運用戦略の変化に合わせて便宜的に第Ⅰ期(2019年10月~19年12月)、第Ⅱ期(2020年1月~3月)、第Ⅲ期(20年4月~9月)に分けて分析しています。第Ⅰ期は米国の景気後退懸念などから軟調な地合いでスタートしましたが、米中貿易摩擦が休戦モードとなったことで上昇基調となります。このタイミングで「ひふみ投信」は5G関連などハイテク銘柄に積極的に投資していました。騰落率は参考指数が+8.6%に対して「ひふみ投信」は+10.5%となるなど好調な出足となったわけです。

ところが状況が一変するのが第Ⅱ期。“コロナ・ショック”による大暴落です。ここで「ひふみ投信」の動きは実に機敏でした。新型コロナウイルス禍という未曾有の不確実性に対して素早く現金比率を約30%まで高めて守りを固めると同時に、暴落局面を利用してこれまで割高で買えなかった優良銘柄を買付けます。さらにウィズ・コロナ時代が当面続くとの見通しから、新型コロナ禍の影響を受けにくいと考えられる銘柄群への投資も進めました。こうした攻守両面での対応が奏功し、騰落率は参考指数が-17.5%に対して「ひふみ投信」は-14.7%に抑えることに成功します。

そして、機敏なポートフォリオ組み換えの効果が劇的に発揮されたのが第Ⅲ期でしょう。新型コロナ禍への経済対策として全世界の中央銀行が空前絶後の金融緩和に踏み切ったことで株価は急回復します。ここでも「ひふみ投信」は新型コロナ禍がもたらす社会構造の変化によって好影響を受けるであろう銘柄にポートフォリオを集中させました。これが大きな成果を上げます。騰落率は参考指数の+17.0%に対して「ひふみ投信」は+30.7%。圧倒的なアウトパフォームを叩き出しました。

第Ⅰ期から第Ⅲ期まで機敏さの中にも一貫した投資戦略が読み取れ、しかもこれだけの成果を出したわけですからファンドマネージャーのお手並みは見事のなものです。受益者としては笑いが止まりません。「ひふみ投信」は前期に参考指数をアンダーパフォームするなど苦しい展開が続いたことから一部で解約の動きもありましたが、解約してしまった人は残念ながら今回の好成績の果実を享受することができませんでした。それだけに苦しい時もファンドを信じて資産を託し続けた受益者にとって今回の好成績には嬉しさもひとしおでしょう。

さて、絶好調だった第12期が終わり、第13期が始まっています。新型コロナ禍は世界各国とも第2波、第3波の兆しが鮮明になるなど予断を許さない展開が続きそう。また、日米ともに政権担当者が変わったことで経済政策がどう変化していくのかも気になるところです。これに対して「ひふみ投信」は今後の運用方針として次のようなポイントを挙げています。

1、「ひふみ投信」の強みは、市場動向にかかわらず「地味で地道な」企業群に投資を続けてきた結果。
2、新型コロナ禍で企業活動は低迷しているが、リモート経済などステイホームの恩恵を受ける企業は好調を維持している。菅政権によるデジタルシフトは日本のDX関連企業に大きな恩恵をもたらす。
3、経営者の質と株式のバリュエーションの見極めが重要。

まだまだ不確実な経済情勢が続いていますが、ぜひ第13期も「守りながらふやす」という基本コンセプトを実現するように頑張って欲しいと受益者の1人として期待しています。ちなみに運用報告書の保有銘柄一覧を見ると、第12期から新たに中国株5銘柄に投資していることが分かりました。これにより「ひふみ投信」の外国株投資は、これまで投資していた米国、フィリピン、香港に加えて4カ国・地域となります。このあたりにもいろいろと隠し玉がありそうで、今後が楽しみです。

最後に「ひふみ投信」の費用明細上の実質コストを確認しておきます。第12期の費用明細は以下のようになりました。

信託報酬:1.078%
売買委託手数料:0.175%
その他(保管・監査・その他)費用:0.004%
実質コスト合計:1.258%

第11期の実質コスト合計は1.055%でしたから、若干増加しています。これは積極的なポートフォリオ入れ替えによるものでしょう。実際に売買高比率は1.49となり、売買委託手数料も増加しています。これだけの成果を上げたのですから、十分に許容範囲内のコスト増でう。機動的なポートフォリオの組み換えはアクティブファンドの醍醐味でもありますから。なお、期末段階での保有銘柄数は257銘柄となり、期首の245銘柄から若干増加しています。ひふみマザーファンドの純資産残高は6567億円でした。

【ご参考】
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