2020年8月23日

市場にはあまりに多くの好材料が織り込まれた―「iTrust世界株式」の2020年7月の運用成績



サテライトポートフォリオで少しだけ積立投資しているピクテ投信投資顧問の低コストアクティブファンド「iTrust世界株式」の2020年7月次運用報告が出ていたので定例ウオッチです。「iTrust世界株式」の7月の騰落率は+0.97%、参考指数であるMSCIワールド・インデックス(ネット配当込み)の騰落率は+2.87%でした。6月は参考指数を大幅に上回る好成績でしたが、その反動もあってか7月はアンダーパフォームしています。それほど現在の市場には勢いがあるのですが、依然として新型コロナ禍に収束の兆しが見えない中での奇妙な相場が続いています。こうした状況に対してピクテは「市場にはあまりに多くの好材料が織り込まれた」と慎重な見方をしています。

7月は世界的に新型コロナウイルス感染者が増加するなど“第二波”への警戒感から市場のマインドも悪化したのですが、米国の経済指数が予想を上回る数字となったことから上昇に転じました。とはいえ依然として新型コロナへの警戒と経済活動回復への期待で綱引きが続く不安定な相場が続いています。「iTrust世界株式」の組み入れ上位銘柄を見るとハイテクとヘルスケアを中心にポートフォリオを組んでいますが、ウォルマートとネスレもあって、生活必需品と食品セクターで守りを固める陣立てだというのがよく分かります。

やはり現在の市場環境に対してピクテとしても警戒を強めているということです。「iTrust」シリーズの受益者に配信される機関投資家向けレポート「Barometer」8月号は現在の市場を「奇妙な均衡」と呼んでいます。新型コロナの悪材料と世界各国の中央銀行や政府による金融緩和と財政措置という好材料が奇妙に均衡し、現在の株式相場の安定を形作っているわけです。

こうした状況に対してピクテは「実際のところ、市場にはあまりに多くの好材料が織り込まれたと考えていて、バリュエーションには割高感が見られます」と指摘しています。とくに割高感が顕著なのが米国株。現在、約24倍まで高まったPERが正当化されるには企業に安定した利潤が必要ですが、新型コロナ禍が収束しない中で、それはあまりに非現実的です。一方、債券も極めて割高になっているのがいまの相場の難しいところ。そこで金が選好されるというのは自然な流れだと言えます。

「奇妙な均衡」が今後、どのように振れるのか非常に難しい局面ですから、結局は各資産カテゴリーともニュートラルポジションを維持するしかないということになります。その上で株式はディフェンシブ銘柄を厚めに組み込むことで、この不安定な相場を乗り切るしかなさそう。まだまだ投資家が安心して過ごせるときは先になりそうです。

【ご参考】
ピクテ投信投資顧問の「iTrust」シリーズはネット証券を含む販売会社で購入できるほか、「iTrust世界株式」と「iTrust日本株式」は楽天証券やカブドットコム証券のiDeCo(個人型確定拠出年金)プランにもラインアップされています。⇒楽天証券確定拠出年金プランauカブコム証券確定拠出年金プラン

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