2020年8月21日

iDeCoも“続けること”がもっとも重要―2020年8月の個人型確定拠出年金(iDeCo)積立と運用成績



お盆休み終わって、すっかり平常モードで仕事も忙しくなってきました。相場の方もなんだか元に戻り、“コロナ・ショック”もかかなり前の出来事のような感覚に襲われます。SBI証券のオリジナルプランで拠出・運用している個人型確定拠出年金(iDeCo)の8月の買付(7月拠出分)が約定しているのですが、これも累積損益率は8月19日段階で+14.8%と順調に回復しています。改めて思うのが、iDeCoも“続けること”がもっとも重要だということです。

SBI証券のiDeCoオリジナルプランで買付けたファンド・商品は以下の通りです(カッコ内は信託報酬)。いつも通りのポートフォリオとなっています。

【個人型確定拠出年金(SBI証券iDeCoオリジナルプラン)】
「三井住友・DCつみたてNISA・日本株式インデックスファンド」(0.16%)
「DCニッセイ外国株式インデックス」(0.189%)
「EXE-i新興国株式ファンド」(0.23%+投資対象ETF信託報酬0.1095%程度)
「EXE-iグローバル中小型株式ファンド」(0.23%+投資対象ETF信託報酬0.075%程度)
「野村外国債券インデックスファンド(確定拠出年金向け)」(0.14%)
「三菱UFJ DC新興国債券インデックスファンド」(0.34%)
「三井住友・DC外国リートインデックスファンド」(0.27%以内)
「あおぞらDC定期」

8月13日から「EXE-i新興国株式ファンド」と「EXE-iグローバル中小型株式ファンド」のコストがわずかですが低下しました。両ファンドとも米国のETFに投資するパッシブファンドですが、投資対象ETFのコストが引き下げられたためです。あまり目立ちませんが、こういった点もファンド・オブ・ETFsの隠れた利点でしょう。

さて、“コロナ・ショック”で一時は評価額が大幅に下落したiDeCo資産ですが、いまではすっかり回復しています。やはり相場に“居続ける”ことの重要性を改めて感じさせます。そんな中、モーニングスターに気になるニュースが載っていました。

iDeCoの6月の新規加入者は約3.1万人で前年同月比0.9%増、平均拠出額はジワリと低下(モーニングスター)


引き続きiDeCoへの加入者数は増加が続いており、制度の普及が進んでいることをうかがわせます。ただ、気になるのが平均拠出額が若干低下していることです。要因に関して記事は次のようにまとめています。
コロナ禍のため、旅館や飲食業などでは休業を余儀なくされるところも少なくなく、また、業態によっては残業の削減など、国内の雇用情勢に変化がみられる。
iDeCoは、60歳までは原則として解約・現金化ができない仕組みであるため、簡単に解約してしまうことはないと考えられるが、収入減などの折には掛金の金額を減額し、厳しい時期を耐えるという動きはでてきやすい。現在のコロナ禍で残業の抑制による収入減、あるいは、ボーナスの減額など厳しい収入状態に陥ってしまった人は決して少なくないと考えられる。
こうした動きをどのように考えるか。私は大いに結構だと思います。確かにiDeCoは満額拠出した方が税制上のメリットが大きくなり、運用効率も高まります。しかし、これは常々言っていることですが、個人投資家は運用効率にあまりこだわる必要はないと思う。それよりも精神面や実生活に負担のない範囲で運用することが継続のためには大切なのです。だから、もし収入減でiDeCoへの拠出が苦しくなるなら、堂々と拠出額を減らす、あるいは一時的に拠出を止めるという判断があってもまったくおかしくありません。そもそも老後資金を作るためと言って、現在の生活が苦しくなるようでは本末転倒だからです。

そして、iDeCoはたとえ拠出額を減らしたり一時的に拠出を止めたとしても、これまで拠出した資金は引き続き運用を続けることになります。ここにiDeCoの大きな特徴がある。もし通常の口座で運用していたら、生活が苦しくなるほどの収入減に見舞われればきっと解約したりして資金を引き出してしまうでしょう。それは市場に“居続けること”を放棄することであり、運用効率をさらに悪化させるケースが少なくありません。

つまり、「iDeCoは、60歳までは原則として解約・現金化ができない仕組み」というのは、拠出の減額や一時停止をしたとしても、制度的に市場に“居続けること”を保証していくれる仕組みと言えます。そう考えると、「60歳までは原則として解約・現金化ができない仕組み」というのはデメリットではなくメリットだとも言えるわけです。

だから記事にあるように「厳しい時には、掛金を最低掛金額の5,000円に落とす、あるいは、掛金の支払いを一時的に停止して(掛金の支払いを停止しても、運用商品の入れ替え=スイッチングなどの運用指示は継続できる)、収入の好転を待つようにしたい」というのは、やはり理にかなっているiDeCo活用法と言えるでしょう。

【ご参考】
iDeCoに加入する場合、金融機関によって手数料や商品ラインアップが異なることに注意が必要です。現在、iDeCoプランの選択肢としてお薦めなのは運営管理手数料が無条件無料で低コストインデックスファンドをそろえるSBI証券セレクトプラン、楽天証券、マネックス証券、松井証券、イオン銀行です。iDeCoへの加入を検討している人は、これら金融機関のプランを研究することをお勧めします。いずれもネットから無料で資料請求できます。⇒SBI証券確定拠出年金プラン楽天証券確定拠出年金プランマネックス証券確定拠出年金プラン松井証券確定拠出年金プランイオン銀行確定拠出年金プラン

iDeCoは公的年金を補完する制度ですから、これを活用する前提として日本の公的年金制度について勉強することを強くお勧めします。この点に関しては、権丈善一先生の『ちょっと気になる社会保障』が最良にして必読の入門書です。このほど、三訂版『ちょっと気になる社会保障 V3』が刊行されました。また、iDeCoも含めて現在の公的年金制度を徹底的に利用するための戦略書として田村正之さんの『人生100年時代の年金戦略』が非常に網羅的にまとめられていてお勧めです。家計管理から貯蓄・投資、公的年金やiDeCo・つみたてNISA活用までトータルに解説している竹川美奈子さんの『50歳から始める! 老後のお金の不安がなくなる本』も老後資金について“自分ごと”として考えるための方法論を丁寧かつ詳細に論じた優れた入門書です。



iDeCoは制度がやや複雑なので加入を検討する場合は解説書を読んで研究することもお勧めします。解説書としては大江英樹さんの『はじめての確定拠出年金投資』山崎元さんの『確定拠出年金の教科書』『シンプルにわかる確定拠出年金』竹川美奈子さんの『一番やさしい! 一番くわしい! 個人型確定拠出年金iDeCo(イデコ)活用入門』田村正之さんの『はじめての確定拠出年金』大江加代さんの『図解 知識ゼロからはじめるiDeCo(個人型確定拠出年金)の入門書』を挙げておきます。





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