サテライトポートフォリオで積立投資している「ひふみ投信」の2020年7月次運用報告書が出たので定例ウオッチです。7月の騰落率は-1.54%、参考指数であるTOPIX(配当込み)の騰落率は-4.02%でした。純資産残高は7月31日段階で1208億円(前月は1248億円)、ひふみマザーファンドの純資産残高は6409億円(前月は6761億円)となりました。なんとこれで6カ月連続で参考指数をアウトパフォームしたことなります。新型コロナによって勝ち組と負け組が鮮明になる中で、絶妙の銘柄選択で半年間負けなしという絶好調の運用が続いています。
7月は世界的に新型コロナウイルス感染症拡大の第2波への懸念が高まったことで方向感の不安定な相場となりました。特に日本株式は米国株と比べて弱さが目立ち、市場平均もマイナスで推移します。こうした中、「ひふみ投信」も騰落率はマイナスとなりましたが、参考指数に対しては大幅にアウトパフォームするなど見事な運用となっています。こうした運用状況に対して最高運用責任者の藤野英人さんは次のように指摘しています。
コロナ禍の中で米国も日本も経済の停滞が続いており、かつ新型コロナウイルス感染拡大の勢いも止まらない状況ですが、そのような中、世界の経済や日本の経済の中で顕著な動きが出てきています。それは、過去の不況期と違い、業績が好調な会社が少なくないことです。一般的には、不況期は全般的にどの業種も業績が悪化し、過去最高益を出す会社はごくわずかしか出ないことが多いのですが、今回はIT、電機、インターネット関連企業、一部のサービスセクター、ドラッグストア、食品スーパー、ホームセンターなど業績が絶好調の会社が多く出ています。新型コロナ禍という“ニューノーマル”の中で企業の中に勝ち組と負け組の差が鮮明になってきたということです。こういった市場動向になると、ある意味で機動的な銘柄選択が可能なアクティブファンドにとって“勝ちやすい”展開となります。「ひふみ投信」はこの好機を的確につかんでいることがここにきての好調の要因でしょう。単月だけでなく“コロナ・ショック”前後となる過去6カ月の騰落率を見ても参考指数が-9.94%なのに対して「ひふみ投信」は+2.76%。過去12カ月間の騰落率でも参考指数が-1.94%に対して「ひふみ投信」は+8.29%。まさに驚異的なパフォーマンスになっています。
もちろん、現在の市場環境を楽観視しているわけでもありません。藤野さんも「このような市場環境では「銘柄選択」がより重要になります。株価が好調であってもその上昇率には限界があるため、株価が割高になりすぎた銘柄のウエイトを的確に減らし、より株価上昇率の小さい銘柄に乗り換えるなど、銘柄選択の力量が問われます」というように、やはり機動的で慎重な運用が重要になりそうです。これもまたアクティブファンドとして腕の見せ所でしょう。受益者の1人として大いに期待したいところです。
一方、好調な運用が続いている「ひふみ投信」ですが少し気になる点もあります。それは純資産残高の減少が続いていること。昨年から資金流出が続いており、“コロナ・ショック”でそれに拍車がかかりました。人気が沸騰して純資産残高も急増した「ひふみ投信」ですが、昨年までやや低調な運用成績となっていたことで人気が剥落した形です。これはファンドにとって大きな懸念材料ですから、今後の推移を見守りたいと思います。
もっとも、資金流出は始まってからの運用成績は絶好調なのですから皮肉なものです。結局、安易な気持ちで「ひふみ投信」に投資し、すぐに逃げ出してしまった元受益者は、現在の好成績の恩恵を享受することができませんでした。逆に積立などで購入と保有を続けた“腰の入った受益者”は現在、ウハウハなのです。やはりアクティブファンドもじっくりと腰を据えて資金を任せ続ける粘り強い受益者が最後には大きなリターンを得るケースが多いということでしょうか。こうした受益者の信頼に「ひふみ投信」として応え続けて欲しいと願います。
さて、月次運用報告書に先立って発表された中間レポート恒例の組入れ銘柄紹介です。今回はGMOクラウド(3788)でした。これまたシブい銘柄です。インターネットのセキュリティ事業などが主力の企業ですが、とくに強みは国内シェアが50%を超えるSSLサーバー証明書技術。新型コロナによってテレワークやリモートワークが一気に普及し、Eコマースも拡大しています。そうなるとサイトの安全性を証明するSSLサーバー証明書の役割は一段と大きくなるわけです。やはりこれも“ウィズ・コロナ”時代の“ニューノーマル”を見据えた銘柄選択と言えるかもしれません。期待したいと思います。
【ご参考】
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また、ひふみ投信と同じマザーファンドに投資する確定拠出年金専用ファンド「ひふみ年金」がSBI証券、イオン銀行、松井証券、マネックス証券などの個人型確定拠出年金(iDeCo)プランでラインアップされています。SBI証券、イオン銀行、松井証券、マネックス証券のiDeCoはいずれも運営管理手数料が無料であり、低コストなインデックスファンドをそろえた商品ラインアップも良心的。iDeCoの選択肢として最有力です。こちらもネットから無料で簡単に資料請求できます。⇒SBI証券確定拠出年金プラン、イオン銀行確定拠出年金プラン、松井証券確定拠出年金プラン