2020年7月7日

積立投資は“自動化”しないと続けるのが難しい



「つみたてNISA」が始まったことで世間でも徐々に市民権を得てきた積立投資。“コロナ・ショック”のような異常事態があってもネット証券を中心に口座開設が増加するなど一段と普及する兆しを見せています。一方、やはり積立投資を続けることは簡単なことではないという現実を改めて思い知らされるニュースがありました。

つみたてNISAの非稼働口座が4割超、積立投資で資産形成の魅力の再確認を(モーニングスター)

こういうニュースを見ると、やはり積立投資は“自動化”の仕組みを導入しないと続けることが難しいと痛感します。

記事にあるように、せっかく「つみたてNISA」口座を開設して投資をスタートさせても、2019年だけでも1度もファンドを買い付けることがなかった非稼働口座が4割超にも上るそうです。また、ファンドを買い付けたとしても1年を待たずして売却してしまうケースもあるそうです。こうなると積立投資によって少額ずつ時間をかけて資産形成するという「つみたてNISA」の趣旨も生かすことができません。

なぜ非稼働が多く、あるいは短期で売却してしまう人も少なからず出てくるのか。様々な理由が考えられますが、モーニングスターは「2019年は株価が右肩上がりで、大きく上昇した1年だったということも関係している」と分析しています。右肩上がりの相場が続くと積立投資は平均買付価格が上昇していくので、一括投資と比べてリターンが悪くなります。このため「毎月コツコツと投資するよりも、一括で投資した方が効率が良い」と感じる人がいたとしても不思議ではない」ということになります。そこで押し目を待っているうちにズルズルの時間が経過していくケースがあったのでしょう。

ところが、一括投資に切り替えた人は“コロナ・ショック”で打撃を受けることになります。あっという間に含み益がなくなり、さらに含み損にもなる。そうなると怖くなって、保有していたファンドを手放すなど一時的に市場から撤退した人もいるのかもしれません。モーニングスターは「幸いにして株価は2カ月ほどで下落分の多くを回復したが、今後も不安定な状態が続くとみられている。不安定な市場ほど、積立投資の効果が出やすい」と指摘しているように、やはりもったいないのです。

なぜこういうことになるのかというと、やはり積立投資への理解不足があります。積立投資というのは相場動向の予想を放棄することが前提となります。相場の先行きは読めないと割り切るからこそ定時定額買付で投資期間中の平均価格でファンドを取得することを目指すわけです。なので投資家が少しでも「相場を予想して有利な条件で投資したい」という“色気”を出した途端、上手くいかなくなるということです。

こうした問題を克服するにはどうすればいいのでしょうか。その一つの方法は、積立投資の仕組みを“自動化”することです。具体的には、ほとんどの証券会社が用意している口座への自動引き落とし・自動買付といったサービスを活用すること。最初に購入するファンドと金額を決めて設定したら、あとは何もせずにほっておく。極端な話、投資していることを忘れるぐらいでちょうどいいのです。

投資ブロガーの中には、毎月手動でインデックスファンドを買い付けている人がいます。しかし、あれはかなり上級者のやり方。積立投資について完全に理解し、腹落ちしているからこそ相場動向に関わらず毎月手動で買付ができるのです。同じことを初心者がやるのは意外とハードルが高い。ついつい相場の先行きが気になって、変な“色気”を出してしまう。また、うっかり買付を忘れるといったミスも起こりがちです。

だから積立投資初心者は、とにかく積立投資の自動化サービスをフル活用するべき。そうやって時間的にも心理的に余裕を持てるようにした上で、あとは投資との適度な距離の取り方というものを勉強して欲しいと思います。それこそが積立投資だけでなく他のすべての手法を含めて、投資を続けるためのコツだと思います。

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