2020年6月20日

金融庁と意見交換しました―金融商品購入時のポイントについて考える



先日、金融庁から声がかかり、ちょっとした意見交換をしてきました。金融庁では現在、個人投資家が金融商品を購入する際に注意すべき具体的ポイントをまとめようとしており、現段階での検討案に対する意見を聞かせてくれとの要請でした。その内容が金融庁のホープページにアップされています。

第1回 金融商品を購入する際のポイント(案)とその狙い(金融庁)
第2回 投資ブロガーの皆さんと意見交換(同)

こうした取り組みは非常に意義のあることだと思います。日本の投資・運用業界が本当の意味で発展するためには、金融機関の営業姿勢だけでなく、金融商品を購入する個人投資家の自律的な成長も必要不可欠だからです。

金融庁の報告にある通り、2013年4月の「金融経済教育研究会報告書」では金融経済教育の意義・目的が3つにまとめられたほか、国民が生活スキルとして最低限身に付けるべき金融リテラシーの内容が整理されています。この着眼は非常に重要です。日本のリテール向け金融商品販売というのはいろいろと問題があるのですが、その原因は金融機関の姿勢だけでなく、購入者である国民の金融リテラシーにも大いに問題があるからです。

実際にこれまでも問題になる金融商品が数多く登場してきましたが、何よりそれら問題があるとされる金融商品が“すごく売れている”という現実があります。それは金融機関が積極的に営業活動した結果ですが、同時に購入する個人投資家の側が問題点をよく理解しないままに購入してしまうからでもあります。場合によっては個人投資家の側から積極的にそういった商品を求めたという面すらあるわけです。

そうなると金融庁としては、いくら金融機関に「顧客本位の業務運営」を求めたところで、十分な効果は上がりません。やはり個人投資家の側できちんと金融商品を吟味して、納得も得心もしてから購入するというプロセスがない限り「顧客本位の業務運営」も絵に描いた餅です。「よく分からいけど勧められたので買うことした」とか、あるいは「特別に儲かる商品はないか?」という顧客の声を金融機関も無視できないからです。

そこで金融庁が検討を進めているのが「金融商品購入時のポイント」という一種のチェックシートです。これを個人投資家の側で普及させることで、金融リテラシーの底上げを図ることを目指しているのでしょう。そして、この試案をさらにブラッシュアップするために今回の意見交換会が行われたわけです。

意見交換会には私のほか、虫とり小僧さん、m@さん、夢見る父さんさんが参加しました。何しろ新型コロナウイルス感染症の拡大もまだ収まっていない時期でしたから、Skypeを使ってのオンライン会議。初めての試みでしたが、通信はなかなか快調で私のような地方在住者にはオンラインでの会議というのは非常にありがたかったです。議論も活発に行われ、参加者各人がかなり突っ込んだ意見を述べていました。その内容は金融庁の発表の通りです。

発表にあるように、参加者からはかなり原理原則からの発言が大勢を占めています。しかし、そもそも「投資とは何か」「金融商品とは何か」という原理原則が案外とおざなりにされているところに日本の個人投資家の金融リテラシーの問題があるのですから、たとえ迂遠でもこういった本質論から議論を進めるべきなのです。

ぜひ今回の意見交換も参考にしてもらって、金融庁には的確で有効な「金融商品購入時のポイント」を取りまとめて欲しいと思います。そして、今後も今回の意見交換会のように実際の市井の個人投資家の声を汲み上げ、対話する試みを続けるべきでしょう。そうすることによって、金融機関に対する単なる“指導”を超えて、日本の投資・金融業界を本当の意味で成長させることができるはずです。

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