2020年6月29日

「新規設定ファンド」ではなく「基幹ファンド育成」の時代に―今月の積立投資(2020年6月特定口座)



早いもので6月もあとわずか。新型コロナウイルス感染症のパンデミックなどで激動の2020年も半分が終わろうとしています。恐らくですが投資や資産運用の世界にとっても2020年は08年のリーマン・ショックと並ぶ変革の契機となりそうです。そういった変化の中で6月もいつも通りにファンドを買い付けました。私だけでなく世の中の積立投資家は今月も淡々と買付を続けています。これもまた変革の契機なのかもしれません。

今月買付けたファンドはいつも通りです。

【特定口座(SBI証券)】
「ニッセイ日経225インデックスファンド」
(信託報酬:税抜0.25% 信託財産留保額:なし)
「<購入・換金手数料なし>ニッセイ外国株式インデックスファンド」
(信託報酬:税抜0.093% 信託財産留保額:なし)
「eMAXIS Slim新興国株式インデックス」
(信託報酬:税抜0.189% 信託財産留保額:なし)
「Funds-i新興国債券・為替ヘッジ型」
(信託報酬:税抜0.6% 信託財産留保額:0.3%)
「世界経済インデックスファンド」
(信託報酬:税抜0.5% 信託財産留保額:0.1%)
「iTrust世界株式」
(信託報酬:税抜0.89% 信託財産留保額:なし)

あいかわらず積立のコアファンドに三井住友トラスト・アセットマネジメント「世界経済インデックスファンド」を愛用しています。ただ、ニッセイアセットマネジメントが「世界経済インデックスファンド」の株式100%版ともいえる「<購入・換金手数料なし>ニッセイ世界株式ファンド(GDP型バスケット)」を6月29日に新規設定します。信託報酬も税抜0.104%と極めて低廉。こうなると「世界経済インデックスファンド」のコスト面での魅力が一段と色褪せます。三井住友トラストAMには、ぜひとも「世界経済インデックスファンド」の信託報酬引き下げについて真剣に検討して欲しいと思います。

なぜこういったことを言うのかというと、「世界経済インデックスファンド」は三井住友トラストAMにとって「基幹ファンド」となり得る大きな可能性を秘めたファンドだと思うからです。株式と債券を50%ずつというポートフォリオはバランスファンドの王道。そして先進国と新興国をGDP比率に合わせて保有するというコンセプトは非常にユニークでロマンがある。歴史的傑作ファンドだと言っても言い過ぎでありません。

これだけのポテンシャルを秘めている「世界経済インデックスファンド」ですが、唯一の課題はコスト面。かつては十分に低コストなファンドでしたが、ここ数年のインデックスファンドの低コスト化の流れに乗り遅れ、現在では相対的に割高感が強くなってしまいました。逆に言うと、信託報酬さえ引き下げられれば再び三井住友トラストAMのバランス型インデックスファンドとして基幹ファンドとなり得るはずです。そして、そういった基幹ファンドを育成することは運代会社として必ず取り組まなければならない課題のはずです。モーニングスターに次のような記事が載っていました。

新規設定ファンド数が低水準、基幹ファンド育成の流れにコロナショック加わる(モーニングスター)

日本の投資信託業界の問題点として、次々とファンドが新規設定される一方で、息長く純資産残高を増やし続けるファンドが少ないことがありました。背景には購入時手数料を稼ぎたい販売会社の意向が色濃くあったとされています。ところが時代の趨勢が変わってきました。記事にも「若年層における資産形成ニーズが意識される中で、運用会社が新規ファンドの投入よりも、長期的な運用成績に優れる基幹ファンドの育成に注力していることが挙げられよう」とあります。こうした動きに、今回の“コロナ・ショック”が拍車をかけたのかもしれません。

こうした潮流に乗るためにも、三井住友トラストAMには、ぜひとも「世界経済インデックスファンド」を基幹ファンドとして育成して欲しいと思います。そのためのポテンシャルを秘めたファンドなのですから、もったいないです。そして、そのための第一歩として信託報酬の引き下げを真剣に検討すべき。それができれば、「世界経済インデックスファンド」の輝きは一段と増し、再び人気も高まっていくのではないでしょうか。

【ご参考】
積立投資についての入門書としては、カン・チュンドさんの『忙しいビジネスマンでも続けられる 毎月5万円で7000万円つくる積立て投資術』と星野泰平さんの『終わりで大きく儲かる「つみたて投資」』、そして水瀬ケンイチさんの『お金は寝かせて増やしなさい』が参考になります。ぜひ参照してみてください。

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