2020年5月24日

市場から一時退出すると相場の反発についていけない―2020年5月の個人型確定拠出年金(iDeCo)積立と運用成績



新型コロナウイルスによる緊急事態宣言も解除の方向となり、世界各国でも再び経済活動が再開しつつあります。まだまだ実体経済への打撃は大きいのですが、どうやら株式相場は今後の経済回復を織り込み始めたかのような強含み傾向を見せています。SBI証券のオリジナルプランで拠出・運用している個人型確定拠出年金(iDeCo)の5月の買付(4月拠出分)が約定したのですが、こちらも予想以上に回復が早い。こうなると改めて感じるのは“市場から一時退出すると相場の反発についていけない”ということです。

SBI証券のiDeCoオリジナルプランで買付けたファンド・商品は以下の通りです(カッコ内は信託報酬)。いつも通りのポートフォリオとなっています。

【個人型確定拠出年金(SBI証券iDeCoオリジナルプラン)】
「三井住友・DCつみたてNISA・日本株式インデックスファンド」(0.16%)
「DCニッセイ外国株式インデックス」(0.189%)
「EXE-i新興国株式ファンド」(0.23%+投資対象ETF信託報酬0.131%程度)
「EXE-iグローバル中小型株式ファンド」(0.23%+投資対象ETF信託報酬0.104%程度)
「野村外国債券インデックスファンド(確定拠出年金向け)」(0.14%)
「三菱UFJ DC新興国債券インデックスファンド」(0.34%)
「三井住友・DC外国リートインデックスファンド」(0.27%以内)
「あおぞらDC定期」

3月の暴落で一時は定期預金と先進国債券インデックスファンド以外すべて含み損となっていましたが、現在は先進国REITインデックスファンド以外はすべてプラ転しました。このため累積損益率も5月23日段階で+4.4%まで戻しています。想像していた以上に市場の回復が早いという印象です。やはり世界各国が積極的な景気対策を実施ていることや、ここにきて新型コロナウイルスの感染拡大もピークアウトの兆しを見せていることを相場が織り込み始めたのかもしれません。

改めて思うのは、やはり相場の先行きを予想するのは非常に難しいということです。“コロナ・ショック”の暴落の際に、さらなる下落を恐れて一時的に市場から退出していたらどうなったでしょうか。恐らく今回の急回復の恩恵を享受することができず、損だけを確定させることになったでしょう。暴落局面でも動かなかったことが結果的に資産を守る最善手だったわけです。

こうした考え方は、iDeCoのような年金資産の運用ではとくに大事なことです。なぜなら、年金資産の運用というのは途中の収益率にはほとんど意味がないからです。それより、少しでも市場に居続けることでリスクプレミアムを獲得し続けることの方が運用の成果には大きな影響があるということになります。そう考えると、今回の“コロナ・ショック”もまた長期投資における絶好の買い場を提供してくれたのかもしれません。

もちろん、これからも何度か大きな下落局面があるでしょうし、場合によってはリターンが低迷する時期が長く続く可能性もあります。それでもあえて動かずに市場に居続けることが必要なのでしょう。それが、いわゆる「稲妻が光る瞬間」(チャールズ・エリス)を捉えるためのもっとも確率の高い方法だからです。

【ご参考】
iDeCoに加入する場合、金融機関によって手数料や商品ラインアップが異なることに注意が必要です。現在、iDeCoプランの選択肢としてお薦めなのは運営管理手数料が無条件無料で低コストインデックスファンドをそろえるSBI証券セレクトプラン、楽天証券、マネックス証券、松井証券、イオン銀行です。iDeCoへの加入を検討している人は、これら金融機関のプランを研究することをお勧めします。いずれもネットから無料で資料請求できます。⇒SBI証券確定拠出年金プラン楽天証券確定拠出年金プランマネックス証券確定拠出年金プラン松井証券確定拠出年金プランイオン銀行確定拠出年金プラン

iDeCoは公的年金を補完する制度ですから、これを活用する前提として日本の公的年金制度について勉強することを強くお勧めします。この点に関しては、権丈善一先生の『ちょっと気になる社会保障』が最良にして必読の入門書です。このほど、三訂版『ちょっと気になる社会保障 V3』が刊行されました。また、iDeCoも含めて現在の公的年金制度を徹底的に利用するための戦略書として田村正之さんの『人生100年時代の年金戦略』が非常に網羅的にまとめられていてお勧めです。家計管理から貯蓄・投資、公的年金やiDeCo・つみたてNISA活用までトータルに解説している竹川美奈子さんの『50歳から始める! 老後のお金の不安がなくなる本』も老後資金について“自分ごと”として考えるための方法論を丁寧かつ詳細に論じた優れた入門書です。



iDeCoは制度がやや複雑なので加入を検討する場合は解説書を読んで研究することもお勧めします。解説書としては大江英樹さんの『はじめての確定拠出年金投資』山崎元さんの『確定拠出年金の教科書』『シンプルにわかる確定拠出年金』竹川美奈子さんの『一番やさしい! 一番くわしい! 個人型確定拠出年金iDeCo(イデコ)活用入門』田村正之さんの『はじめての確定拠出年金』大江加代さんの『図解 知識ゼロからはじめるiDeCo(個人型確定拠出年金)の入門書』を挙げておきます。





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