新型コロナウイルスの感染拡大が続く中、世界各国ともロックダウンやソーシャルディスタンディング対策が行われるなど異常な状況が続いています。まさに世界経済が一時的に停止してしまったわけです。そんな状況ですが、サテライトポートフォリオで少しだけ積立投資しているピクテ投信投資顧問の低コストアクティブファンド「iTrust世界株式」の2020年3月次運用報告が出ていました。「iTrust世界株式」の3月の騰落率は-14.40%、参考指数であるMSCIワールド・インデックス(ネット配当込み)の騰落率は-14.33%でした。わずかならが参考指数をアンダーパフォームしましたが、それ以上に、いかに3月が酷い相場だったのかを改めて実感します。はたして世界経済は今後どうなるのか誰もが気にしているわけですが、ピクテは経済の回復は新興国が先行すると見ているようです。
3月は新型コロナウイルス感染の急拡大や原油急落もあってパニック相場となりました。下旬に米国が2兆ドル規模の景気対策を打ち出したことや、各国の中央銀行も対応策を講じたことで上昇基調となったものの、暴落からの回復には程遠い状態です。セクター別に見ても、すべてのセクターが下落するなど資金があらゆるリスク資産から逃避したことが分かります。
その後、各国で感染拡大を防ぐためにロックダウンやソーシャルディスタンディング対策が実施されるなどし、現在も異常な経済情勢が続いています。こうした状況に対して「iTrust」シリーズの受益者に配信される機関投資家向けレポート「Barometer」4月号は「投資家は警戒姿勢を弱めるべきではありません」と警告しています。新型コロナウイルスによる経済への影響の程度が明らかになるにつれて金融市場は今後、数週間のうちにも再度ボラティリティの急上昇に見舞われる可能性があるからです。
一方、まったく好材料がないわけではありません。ピクテが期待しているのが新興国。特に中国は数ヵ月前には新型コロナウイルス感染の震源地であったですが、現在は緩やかに平時を取り戻しつつあるようです。中国の経済活動は平常時の80%強の水準にまで回復しているように思われることから、経済の急激な減速に続いて急速な回復が実現されることとなるかもしれないと指摘します。じつに皮肉なことですが、中国をはじめとした新興国の方が新型コロナウイルスの打撃が小さい可能性があるわけです。
セクター別でも平時とは異なる選択が必要でしょう。やはりヘルスケア・セクターのフルオーバーウェイトを推奨しています。在宅勤務、SNSやオンラインショッピングの拡大によってテクノロジー・セクターの優位性も一段と強まりそうです。一方、一般消費財サービス・セクターはフルアンダーポジション。恐らく新型コロナウイルスの打撃がもっとも大きいセクターです。バリュエーションの割高感が払拭されていないのも悪材料です。
いずれにしても現在の経済情勢は、いわば戦時経済のようなものですから、平時のセオリーが通用しません。こうした状況では、慌てずに防御的姿勢の投資を続けることが不可欠でしょう。だからこそピクテもポートフォリオ全体では株式、債券ともにニュートラルポジションをとることを推奨しています。いまは慌てて動く時ではないということでしょう。
【ご参考】
ピクテ投信投資顧問の「iTrust」シリーズはネット証券を含む販売会社で購入できるほか、「iTrust世界株式」と「iTrust日本株式」は楽天証券やカブドットコム証券のiDeCo(個人型確定拠出年金)プランにもラインアップされています。⇒楽天証券確定拠出年金プラン